2020.12.26

羽生結弦が新プログラムに込めた思い。SP首位発進でフリーも注目度大

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

12月25日、全日本フィギュアSPを滑る羽生結弦 12月25日に開幕した全日本フィギュアスケート選手権、男子ショート・プログラム(SP)の26番滑走となった羽生結弦の新プログラムは『レット・ミー・エンターテイン・ユー』。イギリスのシンガー、ロビー・ウィリアムスの曲で、羽生にとって『レッツ・ゴー・クレイジー』以来4シーズンぶりのロックナンバーとなった。

 ジャンプ構成は、4回転は"付き合い"の長いサルコウとトーループで、最後はカウンターからのトリプルアクセル。見どころを聞かれ、「(観客に)何か、湧き上がるような感情があればうれしい」と話していたアップテンポなプログラムだ。

 新型コロナウイルスが蔓延する中、グランプリ(GP)シリーズ出場を断念した羽生は、この大会がシーズン初戦。そこにSP、フリーとも新プログラムで挑むことになった。ジャンプの難度を上げるのではなく、まずは慣れたジャンプでこれまで以上に完成度の高い演技を目指そうとの方針だった。

 25日午前の公式練習からその姿勢が垣間見えた。曲かけ練習では、最初の4回転サルコウがパンクして2回転になりながらも、次の4回転トーループ+3回転トーループを決めた。スピンは飛ばしてトリプルアクセルを跳び、滑り出しからジャンプとジャンプの間のつなぎは複雑で難度の高いものにしていた。2分57秒間、すべての要素をアップテンポな曲調に乗せて流れるような演技にしたいという思いがうかがえた。

 本番のSPで、羽生は滑り出しから「魅せる演技」をした。4回転サルコウはやや前につんのめるような着氷になり、次の4回転トーループ+3回転トーループもセカンドジャンプの着氷からの流れが少し悪かったようにも見えたが、演技自体の流れはよどまなかった。複雑なつなぎを存分に楽しみながら、冷静な部分もあるように見えた。