2020.10.26

羽生結弦は固定概念を打ち破る。挑戦する楽しさを体現した2015年の熱演

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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2015年NHK杯で完璧な演技を見せ優勝した羽生2015年NHK杯で完璧な演技を見せ優勝した羽生  結局、2015ー16シーズンに再挑戦することになり、羽生は初戦のオータムクラシックとスケートカナダでその構成を試みた。いずれの演技もミスが出たが、そこで羽生は「もしノーミスでできたとしても、それは前季に挑戦しようとしたことに過ぎないし、さほど成長したとは言えないのではないか」と考え、さらに難度の高い構成に変更することを決めたのだ。

 また、15ー16シーズンの中国杯でボーヤン・ジン(中国)が4回転ルッツ+3回転トーループを成功させたことも、その思いに拍車をかけたのだろう。

 そして、このNHK杯SPで、羽生はそれまでの2戦で感じられた、後半の4回転を意識し過ぎたことによる窮屈さを一変させ、伸びやかに滑った。

 冒頭の4回転サルコウは、羽生自身が「よく耐えられた。ブライアンにもそう言われた」と苦笑するように、着氷で前に倒れそうになりながらも、エッジの先で何とかバランスを保つジャンプだった。しかし次の4回転トーループ+3回転トーループは、6分間練習でも見せていた完璧なジャンプとした。GOE(出来栄え点)で2.57点の加点をも受けた。

 フライングキャメルスピンもスピード十分のレベル4で、GOEは2点と3点が並んだ。後半に入ってすぐのトリプルアクセルもきれいに決めた。ステップシークエンスも気合いが入った切れ味の鋭い滑りでレベル4をもらうなど、躍動感あふれる演技。歴代世界最高の106.33点を獲得した。