検索

笑顔を取り戻した本田真凜。
見出した「復活への足掛かり」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 決意に満ちたシーズン、復活の兆しがあった。

 シニアデビューの2017-2018シーズンが開幕した時点で、世界ジュニア選手権(2016年)で優勝していた本田は、"日本女子フィギュア界の次世代を継ぐ選手"として注目されていた。花のように可憐な容姿に、識者も認める表現力で、2018年平昌五輪の有力候補になった。スター性は群を抜いていた。

「昔は、人が何回もやってできることを、自分の中では結構すぐにできてしまって。でも、できるのがいいことではなくて。すぐにできるから、コツコツとジャンプを習得した選手よりも、安定しないというのがありました」

 本田はそう振り返る。天才すぎたということか。シニアデビュー1年目はGPシリーズに挑戦も、不本意な成績に終わった。当然、五輪出場も逃した。

 2年目の2018-2019シーズンは意を決し、アメリカに拠点を移したが、さらに苦しむ。全日本は15位に低迷した。

 約2年間、彼女は辛酸をなめてきた。

 それだけに、2019-2020シーズン、全日本選手権のショートプログラム(SP)で、65.92点と6位に入ったとき、本田の声は弾んだ。

「滑っていて、すごく楽しくて! お客さんの表情が見えたのは何年ぶりだろう。いろいろ吹っ切れて。厄年もこれで終わるので」

 本田は表情を明るくした。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る