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紀平梨花が敗戦で得たもの。
ロシア3人娘の背中は見えている

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 グランプリファイナルで総合4位となった紀平梨花のフリーの演技 グランプリファイナルで総合4位となった紀平梨花のフリーの演技 今季のグランプリ(GP)ファイナル女子シングルは まさに異次元の、想像をはるかに超える戦いとなった。ショートプログラム(SP)ではジャンプで失敗し、最下位6位と出遅れた紀平梨花は、フリーで145.76点の4位に浮上し、合計216.47点の総合4位となった。大会連覇はおろか、表彰台に立つことさえ厳しい戦いになると戦前から口にしていたが、それが現実となった。

 フリーでは、今季シニアデビューしたロシアの若手選手3人が、昨季のGPファイナル女王の紀平や平昌五輪女王アリーナ・ザギトワを含む下位の3人に、同じ種目で争っているとは思えないほどの演技内容とジャンプ構成を見せつけた。

 トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)2本を完璧に跳び、162.14点でフリー2位となったアリョーナ・コストルナヤは、合計247.59点の歴代世界最高得点で初出場初優勝を成し遂げた。そのフリーでの技術点は3位にあたる88.87点。その上をいったのがアンナ・シェルバコワとアレクサンドラ・トゥルソワだった。シェルバコワはルッツとフリップの4回転を計3本跳んでフリー1位に(技術点は94.52点)。技術点のトップは、ルッツとフリップ、トーループの3種類計4本の4回転を跳んでフリー3位になったトゥルソワの96.80点だった。

 高難度のジャンプを繰り出して技術点で90点前後を出す選手に対して、紀平は初めて4回転サルコウとトリプルアクセル2本の構成で挑んだ。しかし、冒頭の4回転で転倒、その直後のトリプルアクセルで回転不足を取られて減点された。9月のオータムクラシックの前に痛めた左足首痛がまだ完治していないため3回転ルッツを跳ぶことができず、ジャンプ構成はメダリストと比べると見劣りすることは否めなかった。

 紀平の技術点は77.90点。技術点トップのトゥルソワとは18.90点差、同じトリプルアクセルを武器にして初優勝したコストルナヤとは10.97点差がついた。

「4回転サルコウを跳ぶと決めて、実行できてよかったです。いまの状態では精一杯を尽くせたと思うので、点数とか順位とか演技とかは悔いが残りますが、いまできることをしっかり出せたことはすごくよかった。ミスをなくすために、次の試合からはショートもフリーも絶対に揃えて完璧を目指して、どんなことがあっても対応できるようにしていきたいです。

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