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山本草太と島田高志郎、
GPシリーズの厳しさにぶち当たる (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 山本は4番目の滑走だった。冒頭、4回転サルコウ+3回転トーループの大技を成功。躍進の気配が漂った。しかし2本目の4回転トーループが2回転になって、得点がつかない。その後も、トリプルアクセルの着氷が乱れた。

「気持ちだけでは、どうにもならないことがあって。練習の平均的な内容がそのまま試合に出るんで。だから、練習からノーミスでできるようにならないと」

 山本は言葉を振り絞るように言った。

「演技全体は前向きにできていました。(冒頭で)サルコウがうまく入って、いい動きができていて、気持ち的には悪くなかったと思うんです。でも、4回転トーループは結果的にできていないので。トップの選手は、得点源のジャンプをパンクさせるようなミスをしない。(この舞台で戦うために)最低限のことができていないと思います。GPシリーズは2戦目で、まだまだ経験が足りないなと」

 74.88点で7位でのスタートになった山本は、そう言って反省しきりだった。あるいは自分を追い込み、気負いすぎているのか。しかし真剣に向き合うことは、彼の性質なのだろう。自分のスタンスで、技を極めるはずだ。

 一方、島田はショートの6分間練習では、動きが冴えていた。気持ちが入っていたのだろう。その勢いで、冒頭のトリプルアクセルを成功させ、GOE(出来ばえ点)も稼いだ。

 しかし、4回転トーループでは転んでしまう。それだけではない。終盤のステップで転倒。それはあまり見られない光景だった。

「"え、自分は何をしたんだろう?"というくらい予想外の転倒でした。(キス&クライでも)ステファン(・ランビエールコーチ)に、『なにしてんの?』って何度も肩を叩かれましたね」

 島田はそう言って、抑揚のある高い声で説明した。

「貪欲に上を目指していたので、正直、悔しいです。結果として、完璧には程遠い。練習が足りないですね。試合の緊張に負けてしまった。まだまだメンタルが弱いというか。トップの選手は、練習で5本ジャンプを跳んで、3本の成功したイメージを焼き付けられる。でも、自分は失敗した2本のほうが残ってしまって。そこはまだ課題だなと思います」

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