成長して戻ってきた浅田真央。「25歳の自覚」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 国民的人気を誇る浅田の復帰戦を、詰めかけた約16500人の観客は温かく見守った。「天才少女」として注目され始めた10歳頃から、この 15年間、常に注目の的だった浅田ももう25歳。現役続行を決断してから目標としていた、一昨季の世界選手権当時のレベルまでしっかりと戻して戦いの場に立った。それはこの日の演技構成の内容にも結果にもきちんと表れていた。有言実行してみせたのはさすがだった。

 フィニッシュポーズ後には、大きな拍手と歓声に包まれながら、スタンディングオベーションを受けた。自分の演技を受け入れてくれた観客の反応に、それまでの硬い表情を崩して笑顔を見せ、胸に手を当てて「うん、うん」と頷いてみせた。

「復帰初戦で緊張もあったけど、足を引っ張らないようについていこうと思いました。初戦にしてはたぶん、今までで一番いいジャパンオープンの演技だったんじゃないかな。まず復帰戦を無事に終えたこと、そして昨シーズンの世界選手権のときのレベルに戻し、そのときと同じこの場所で最後まで演技を終えられたことがうれしくて、ほっとして、自分でも『ありがとう』という気持ちでした」

 休養中だった昨季は、若手が台頭してロシア勢が活躍した。現世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワが、浅田のお株を奪うようなトリプルアクセルを身につけて初めて競技会で成功させたシーズンでもあった。

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