成長して戻ってきた浅田真央。「25歳の自覚」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そんな若手との勝負に勝つのは容易なことではないと感じながらも復帰の道を選択した浅田は、休養について「ここに戻ってくるまでの大切なパワーチャージの時間だったと思っています」と振り返った。それと同時に、「少し不安があったんですけど、こうして自分の力を出してみんな(トップ選手)と戦えることが分かったので、いい試合になったと思います」と手応えをつかんでいた。

 この日のフリーは、自身が大好きな色という薄紫の着物風コスチュームを着て「蝶々夫人」になりきった。トリプルアクセルを成功させたうえ、休養中に様々な経験を重ねてきたことで磨かれた表現力も披露して、上品な音楽に乗って優雅な舞いを見せた。

 プログラム中盤の2回転アクセル+3回転トーループもしっかりと決めるなど、まったくブランクを感じさせない演技だった。合計得点の 141.70点(技術点71.88点、演技構成点69.82点)は、ソチ五輪でマークした自己ベストの142.71点に迫る高得点だった。

 力みのない自然体な演技ができたことについて、浅田はこう振り返った。 

「久しぶりの試合でしたが、自分の気持ちをコントロールできたと思います。練習通りを心がけて、トリプルアクセルが特別なジャンプだと思わずに、ひとつのエレメンツ(要素)として練習してきたので、そういった気持ちが今日の試合で生きてきたと思います。

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