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チャンに勝利。羽生結弦の金メダルが見えてきた (2ページ目)

  • 辛仁夏●取材・文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

  羽生が五輪用として選んだSP『パリの散歩道』は昨季と同じで、昨シーズン中、2度の世界歴代最高を記録したプログラム。滑り込んできたこのプログラムは、コンスタントに高得点を出せる完成度の高さを誇る作品に仕上がってきており、今大会ではそのSPでノーミスの演技を披露する会心の出来。SPでジャンプを失敗して調子の悪さと元気のなさが目立ったチャンが87.47点に留まったのとは対照的に、羽生は絶好調で、技術点では12点近く、演技構成点でもほんのわずかだがチャンを上回った。
 
 そしてフリーでは、冒頭の4回転サルコーで転倒しながらも何と技術点で102.03点を叩き出す。これはフランス大会でチャンが初めて100点台を出した100.25点を超える驚異的な得点。課題としている演技構成点でもチャンの95.48点に迫る勢いを見せて5項目で9点台が並んで92.38点をマークした。

フリーでも自己最高得点を記録した羽生だが、「まだ課題もある」と気を引き締めていたフリーでも自己最高得点を記録した羽生だが、「まだ課題もある」と気を引き締めていた フリーのジャンプでの得点の出方で、トップ2人のGOE(技の出来ばえ)を見ると、羽生にはプラス3が11個もあったが、チャンはその半分のわずか5個。このGOEの点差がそのまま結果に表れた格好だ。「点数については驚きしかない」(SP)、「びっくりな点数」(フリー)と本人が言うほど、今大会では高得点を連発した。

「フリーは一生懸命滑ることだけを考えて、最後まで集中することができたのが良かった。今回は疲れもあって表現面ではうまく行かず、ジャンプを跳ぶことだけに気持ちがいってしまった。この得点に相応しい演技をしないといけないので、もっと頑張らないといけない。ソチ五輪代表に決まることを祈りつつ、全日本選手権はリラックスして臨みたいです。今大会は(ジャッジが)SPの演技構成点を高く評価してくれたことが(勝利に)つながったと思います」

 チャンにも勝ち、内容も結果も伴った有意義な大会となったが、羽生は気を引き締めることを忘れていない。そして、今大会を振り返ってこうも話した。

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