【フィギュアスケート】浅田真央、完全復活。トリプルアクセルに大きな変化 (4ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 トリプルアクセルを跳ぶことで、練習中からいい方向に向かっていたし、本番になると普段以上の力が出てきますから、それを上手く利用すればいけるかなという思いがありました。じっとそのチャンスを狙っていたと言えば狙っていたかもしれない。ひとつひとつ課題を詰めてきたことも良かった。ソチ五輪までは故障をしないように気をつけながら、どこまでもやるというどん欲さを持ってやっていきます」

 翌日のフリーでは、「いまできる最高のレベル」のプログラムを披露したが、トリプルアクセルと、3フリップ+3ループと2アクセル+3トーループの連続ジャンプの2つ目のジャンプでいずれも回転不足を取られ、3ルッツでは不正エッジの判定まで受けてしまった。それでも、「攻めのプログラム」に挑んだこともあり、フリーは130.96点をマークして合計で今季世界最高の205.45点で3季ぶり3度目の優勝を飾った。

 国際大会で3度目の200点超えを成し遂げた浅田は、バンクーバー五輪で出した自己ベストまで0.05点に迫る高得点をあげた。大技の成功という成果も出して3月の世界選手権に向けて大きな自信をつけたに違いない。

「世界選手権を前に自分を信じる気持ちが出てきたし、少しずつですが、自分のジャンプをようやく取り戻してきたかなとあらためて感じることができました。今回、フリーではまだ自分の最高の演技をしていないので、これから気持ちを切り替えて世界選手権に向けていい練習をして、トリプルアクセルと3フリップ+3ループもきちんと跳べるようにしていきたい。バンクーバー五輪よりも質のいいジャンプが跳べるようになり、トリプルアクセルと3+3の連続ジャンプもプログラムに入れることができたので、今後は(フリーで)トリプルアクセルを2度跳べるようにしていきたい。リスクもあるが、挑戦する楽しみが怖さよりもある。この挑戦でどこまで自分ができるか楽しみなところです」

 揺らぎのない基盤(ベース)ができたことで、バンクーバー五輪では出すことできなかった「最高のレベル」を目指す。彼女のそんなやる気についに火がついたようだ。

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