【フィギュアスケート】浅田真央、完全復活。トリプルアクセルに大きな変化

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

四大陸選手権を制した浅田真央、フリーの演技四大陸選手権を制した浅田真央、フリーの演技 やはり浅田真央にはトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が似合う。「似合う」という言葉を使うのは適切ではないかもしれない。それでもあえて使ったのは、ニュアンス的にそうとしか言えないからだ。洋服でも眼鏡でも、自分の気に入ったものやしっくりくるものを身につけると気持ちが晴れやかになり、やる気が自然と沸いて出てくることがあると思う。フィギュアスケーター浅田にとっては6種類のジャンプの中でもトリプルアクセルが、そんな重要なアイテムの一つなのだと、躍動する彼女を見てあらためて思ったのだ。

 とにかく顔つきが違った。ショートプログラム(SP)で大技を成功させた演技直後、はじけた笑顔にポンと手を打つ仕草とガッツポーズが飛び出した喜びようは、本当に久しぶりに見ることができた気がする。本人も、今シーズン4戦4勝しても、満足いく演技ができても、「喜びは半分しかなかった」と語っていた。

 今大会はその発言にも注目した。言葉の端々に積極的で前向きなコメントが次々と出ていたことからも、「攻めのプログラム」に挑む姿勢がうかがえた。

「今できる最高のレベルに挑戦することが目標だったし、それができてよかった。レベル的にはこれ以上のものはできないと思う。トリプルアクセルはここぞというときの1本に賭ける思いがあって、練習通り以上のものができたと思います。トリプルアクセルはバンクーバー五輪よりもさらに質が良くなっていますので、これは自信になります」

 この発言は、9日のSPで2年ぶりに完璧なトリプルアクセルを跳んで、バンクーバー五輪以来となる70点の大台(74.49点)に乗せた演技後のものだ。

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