羽生結弦、四大陸選手権は次につながる貴重な敗戦

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

ショート、フリーともに不満の残る内容で2位となった羽生結弦ショート、フリーともに不満の残る内容で2位となった羽生結弦 2月9日のフィギュアスケート四大陸選手権男子フリーは「まさか」の連続だった。

 最初の予想外の出来事は、最終組2番滑走の羽生結弦の演技。冒頭の4回転トーループこそ余裕を持って2点以上の加点をもらう完璧な出来だったが、続く4回転サルコウは、直前の6分間練習でキレのある回転で決めていたにもかかわらず2回転になってしまった。

 その後、中盤のトリプルアクセルの着地でバランスを崩してからは、スピードも急激にダウン。終盤の3回転ルッツが1回転になるミスも犯してしまい、得点は158.73点。GPファイナルより約20点、全日本選手権より30点近く下回る得点で、合計も246・38点でショートプログラム(SP)1位の貯金をフイにしてしまった。

 会場のどよめきはそれだけでは終わらなかった。そのふたり後のケビン・レイノルズ(カナダ)が冒頭の4回転サルコウを筆頭に、3回転トーループの連続ジャンプと4回転トーループを単独で2回決めるなどノーミス。172・21の高得点をたたき出し、合計250・55点にしてSP6位からトップに駆け上がった。

 さらに次の髙橋大輔の演技では、落胆のどよめきが起こった。髙橋は冒頭の4回転トーループが回転不足の両足着地になると、次の4回転トーループも回転不足。さらに中盤のトリプルアクセルでは転倒と、髙橋らしくないボロボロの演技。フリーの得点は全体8位の140・15点で、合計も222・77点と、SP4位から順位を落として7位と惨敗。呆然とした表情を見せた髙橋は、ミックスゾーンへ来ても動揺していた。

「調子自体はよかったのに、何もかもがうまくいっていなかった。練習でもこんなにひどいのはなかったから、全部ダメ。どこかに気の緩みがあったと思う......。これからは気持ちを引き締めて練習をしていきたい」と語った。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る