【プロレス】藤原喜明が見た、アントニオ猪木と山本小鉄の素顔 誰からも愛された「前座の力道山」との思い出 (2ページ目)
【観察していた猪木のクセ】
山本小鉄の次についたのが、猪木だった。
「付き人で一番重要なことは、相手のクセを観察することなんだよ。例えば、猪木さんは風呂から上がってパンツを履く時は必ず左足からで、体を拭く時にイスに座るんだ。そこで俺は、足下に必ず新聞紙を一枚敷いて、足が汚れないように用意したんだ。髪の毛を整える時には『オイ、鏡』って命令するから、その時点で鏡とクシを渡す。そのうち、『オイって言いそうだな』と感じた時に先回りして渡していたよ。
それは毎日の訓練。俺は、サラリーマンを辞めて調理師を目指した時もレシピを全部メモにして書いてたからな。それと同じで猪木さん、小鉄さんのクセを全部、頭のなかに入れていたんだ。だから、のちに猪木さんが、雑誌の取材かなんかで『思い出に残っている付き人は誰ですか?』って質問に『一番優秀だったカバン持ちは藤原』と答えていて。あれは、うれしかったな」
付き人時代の忘れられない光景は、地方巡業でのこと。当時の地方巡業は旅館に宿泊することが多く、試合後には大広間で選手たちが夕食を共にすることがあった。
「巡業で翌日が休みだと、必ず旅館で宴会だったな。シリーズが長いから、下っ端は不満が溜まるんだよ。そのストレス発散で、俺は酔っ払ったふりをして猪木さん、坂口(征二)さんに絡むんだよ。俺が文句を言っても、猪木さんは怒らなかったな。『そうだな。そうだな』ってなだめてくれたよ」
50年以上前の当時、宴会では余興として「早飲み競争」があった。
「みんなで、ビールの大ジョッキを早飲みするんだ。それで一番速かったのが猪木さんだったよ。記憶に残ってるのは、俺が11秒だった時に、猪木さんは4秒だったかな。一瞬だったよ。なんでそんなに早く飲めるかわかるか? それは、アゴが出てるからだよ。おっと! 失礼(笑)」
2 / 4

