【ボクシング】在米記者たちが予想する井上尚弥vs.アラン・ピカソ 前戦・アフマダリエフ戦の振り返りから見る展開は? (3ページ目)
3. サウジアラビアでのピカソ戦、来春の中谷潤人戦で井上はどういったスタイルで戦うと思うか
サンガリア : もし相手が中谷のような選手なら、非常に慎重になる必要がある。ネリ戦やカルデナス戦のような戦い方はできない。中谷は強打者であるだけでなく、自分の距離を保つ能力にも非常に優れている。井上が無謀に前に出れば、左アッパーや右フックを狙ってくるだろうし、何より体格でも井上より大きい。
年齢を重ねると、よりアウトボクシングを取り入れなければならなくなる。21歳の頃のように、1ラウンドで200発も打ち続けられるエネルギーはない。時には相手を前に出させる必要もある。中谷に前に来させて、井上と比べればまだ経験の浅い部分を突き、ミスを誘う――そういう戦い方をするのも、決して悪いアイデアではないと思う。
アコピャン : 井上は現在32歳で、まだ十分に強さを保っている。だからスタイルを大きく変える必要はないと思う。ただ、今後、カルデナス戦のような戦い方をするかどうかは一つの指標になるとは思う。あの試合で井上はキャリア2度目のダウンを喫し、しかも相手はメキシカン(注・カルデナスはメキシコ系アメリカ人)だった。ピカソにはカルデナスほどの一発強打はないとはいえ、前に出てきて打ち合いを恐れないメキシカンスタイルに対し、今度はどんな戦い方をするのかに注目しておきたい。
杉浦 : 11月中に行なったインタビューの際、井上は「ムロジョン戦の戦い方で、さらに倒しきることが理想です。パンチをもらわずに当てて、しっかりと仕留めきること」と述べていた。ピカソ戦、中谷戦に限らず、その戦い方を極めるのがこれから先の課題になるのだろう。
特に身長、リーチに恵まれた中谷は同じサウスポーでもアフマダリエフとはまたタイプが違う。来るビッグファイトを前に、ピカソ戦ではややオフェンス重視になるのではないか。アフマダリエフ、中谷という強敵に挟まれたピカソとの防衛戦は集中を高めるのが容易ではなさそうだが、そのなかでも「打たせずに打つ」を継続できるかが注目点になる。
つづく
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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