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【ボクシング】在米記者たちが予想する井上尚弥vs.アラン・ピカソ 前戦・アフマダリエフ戦の振り返りから見る展開は? (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

2.井上がアフマダリエフ戦ではアウトボクシングを貫いたことに驚かされたか?

サンガリア : 特に驚きはなかった。なぜなら、MJにはあのアウトボクシングを突き破る術がなかったと思うからだ。井上は経験豊富な選手だし、この先、サウジアラビアでの試合(ピカソ戦)や中谷戦といった重要な試合が控えている。ここで何か思いがけない一発をもらうリスクを冒す理由はなかった。

 この試合は、バーナード・ホプキンスが2004年、オスカー・デラホーヤ戦前にロバート・アレンと戦って判定勝ちを飾った試合を思い出させた。そのときと同じように、井上も倒そうと思えば倒せたかもしれないが、無理に仕掛けて一発もらうのではなく、『勝負をかけるべき時にかける』という判断だったと思う。

アコピャン : 驚きはしなかった。なぜなら、相手がMJだったから。MJは豊富なアマチュア経験を持ち、サウスポーでもあり、決して簡単に攻略できる相手ではない。それでも井上は、簡単そうに見せてしまった。我々は井上のKO勝利に慣れすぎているが、この試合は彼のキャリアで4度目の判定決着だった。31勝27KOという戦績を考えれば、それまでフルラウンドを戦い切ったのはわずか3人だけだ。MJは、それまで井上が倒してきた相手とは明らかに異なる格のファイターだった。

杉浦 : 井上の技術の高さを考えれば、流麗なアウトボクシングを展開したことは想定内。だが、どこかで思いきってヤマを作りにいくだろうと予想しており、それを自重したのはサプライズではあった。ネリ戦、カルデナス戦でのダウンは衰えではなく、強引に攻めすぎた結果であり、本人にも思うところがあったのだろう。それに加え、アフマダリエフの尋常ではないタフさをリング上で体感し、必要以上の追撃は避けるという決断に至ったに違いない。

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