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【プロレス】「ぶつかり合ったからこそ、わかり合えた」 柴田勝頼が振り返る棚橋弘至との真剣勝負の先にあったもの (2ページ目)

  • 井上崇宏●取材・文
  • 市川光治(光スタジオ)●構成

【ぶつかり合って見えたもの】

── 橋本真也vs小川直也の第3戦。

柴田 あの場にいたことは、とても大きかった。橋本vs小川戦と、西武ドームでのPRIDEの石澤(常光)vsハイアン(・グレイシー)戦は、自分のレスラー人生にものすごく大きな影響を与えたと思っています。

── プロレスと格闘技がクロスオーバーした混乱の時代。

柴田 そのあと棚橋くんは、新日本にいることで新日本プロレスを守ってきた。それは間違いない。そして自分は外に飛び出して新日本プロレスを体現していた。自分たちはそこの交差点に立っていて、それはどっちが正しいとか間違っているとかの話ではないんですよ。当時は、今の時代の若手には想像できないくらい、それぞれが確固たる自分というものを持ち、自らの存在を張ってプロレスラーをやっていた気がします。

── プロレス観が真逆くらいに違ったからこそ、熱い衝突ができたと。

柴田 やっぱり闘ったからこそわかることって、あるじゃないですか? ガキ大将同士の喧嘩じゃないけど、ヘトヘトになるまでやり合って、最後にふたりして大の字になって「おめー、強えな」と認め合うような。自分が新日本に戻ってきてやった棚橋くんとのシングル3戦目はそれに近いですよね(2014年9月21日、神戸ワールド記念ホール)。

 お互いの通ってきた道を懸け、お互いのプロレスをぶつけ合うことで、初めてわかり合える部分を、あの時の試合後に感じたというか。純粋に、棚橋くんからは新日本プロレスを一途に守ってきた者の意地を感じました。闘いを通じてそれを心から感じたので、試合後に率直な気持ちを言葉(「新日本プロレスを守ってくれてありがとう」)にしただけです。そこは自分がやってこなかったことなので、素直に尊敬の気持ちがあって、それは今でもあります。

── 愚直に新日本を守り続けてきた結果、棚橋弘至は新日本のエースになりました。

柴田 唯一無二、新日本のエースは棚橋弘至です。そこで次のエースは誰とかって会社が売り出そうとしても、うまくいくわけない。そこは棚橋くんが新日本プロレスでやってきたことの大きさだったり、歴史でもあるので、簡単に真似できるものではないですよ。

 次にエースにしようとしている選手がいるとしても、似たような位置づけは作れたとしても、「次のエース」と言っている時点で真似にしかならない。そう考えると新闘魂三銃士も、今となってはよかったなとすら思いますね。まったく機能していませんでしたが......(笑)。

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