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【女子プロレス】暁千華は「令和のクラッシュ・ギャルズって呼ばれたいわけじゃない」 19歳が抱く覚悟と大いなる目標 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

 4月10日、マーベラス新宿FACE大会。里村明衣子 vs 彩羽匠のシングルマッチが行なわれた。長与の弟子同士――"紅の継承者"対決である。

 歴史に残る名勝負となった一戦で、彩羽は里村に勝利した。その直後、長与はマイクを取り、セコンドについていた暁に問いかけた。「お前も受け継ぐ気、あるのか?」。しかし暁は、返事をしなかった。里村と彩羽の試合があまりにもすごすぎて、軽々しく言葉を発することができなかったのだ。

 その暁に、「里村や彩羽の域まで行きたいか」と尋ねると、彼女は首を振った。

「同じところに行こうとは思っていなくて。同じレベルの、違うところに行きたいです。里村さんだったら"横綱"というポジションだけど、自分は暁千華にしか行けないところに行きたい」

【「暁千華」という名だけで勝負する覚悟】

 6月27日、新木場大会。暁は彩芽蒼空と組み、スパーク・ラッシュ(彩羽匠&Sareee)の持つAAAWタッグ王座に挑戦した。

 圧倒的強さを誇るスパーク・ラッシュに、新人ふたりが真っ向からぶつかっていく。その構図が名勝負を生んだ。強すぎて「ライバル不在」と言われるスパーク・ラッシュにとっても、これ以上ない挑戦者だったのではないだろうか。

 暁と彩芽は同じ19歳。暁が赤い水着、彩芽が青い水着という対比も相まって、「令和のクラッシュ・ギャルズ」と呼ばれることも多かった。しかし、スパーク・ラッシュが正式にクラッシュ・ギャルズを継承したことで、どちらが令和のクラッシュ・ギャルズなのか、少し曖昧になっている。

 そのことについて尋ねると、想像を超える言葉が返ってきた。

「令和のクラッシュ・ギャルズって呼ばれたいわけじゃないんです。クラッシュ・ギャルズは大好きですけど、その名前は必要ないんじゃないかなと思っています」

 なんて逞しいのだろう。19歳にして、もう「暁千華」という名だけで勝負する覚悟を持っている。彼女はいつか、女子プロレスの歴史を変える選手になるかもしれない。

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