【プロレス】学生プロレスから新日本のトップへ ボディメイクの棚橋弘至とスイーツ真壁刀義が歩んだ異端の王道 (2ページ目)
── 好きな選手には、普段自分が食べているものよりもいいものをプレゼントしたいというのがファン心理ですからね。
真壁 そうそう。だから「これ、めちゃくちゃ美味いな。どこのだろ?」ってところからスイーツの英才教育が始まってる。
── 英才教育! 若手時代からスイーツに関してはグルメだったと(笑)。
真壁 だから「スイーツ真壁」っていうのは、誰かにつくられたキャラクターじゃないんだよ。そこからパフェだろうが焼き菓子だろうが、どこのやつが美味いとか、ありとあらゆるスイーツの有名店を把握してた。きのう今日、慌てて仕入れた情報じゃないんだから。
【プロレス以外の情報発信が磨いた表現力】
── 一日二日じゃ成しえない、棚橋選手のボディメイクと同じですね(笑)。
真壁 まさにそう。棚橋が身体を絞ってボディメイクをしている時に、オレはスイーツ食ってお腹が出始めちゃった。バカ野郎ってそういうことなんですよ(笑)。だから結果、ボディメイクが棚橋の財産になって、スイーツがオレの財産になっている。
オレがスイーツの情報をがんがん自分の中に入れて、「これ美味いよね」ってやってる時に、棚橋は「この二頭筋いいでしょう。三頭筋もいいでしょう」ってやっていた(笑)。それをやっているうちに、ふたりともプロレス以外の情報の飛ばし方ができるようになったんですよ。
── そのうち、スイーツの紹介の仕方もうまくなっていった。そういった経験も本業のプロレスにフィードバックされたりするんですか?
真壁 もちろん。たとえば食レポでコーヒーを紹介する時に「このコーヒーがどんな見た目をしていて、どういう香りがして、どんな味がするのか」を伝えなきゃいけない。「これ、苦いよね。でも甘みもあって香りがいいよね。あとはなんか最後に残る......これはなんだろう。コーヒー以外のビターな感じがするな」とか。そういうのってプロレスの試合と同じで、オーソドックスな試合をやって「こいつ、若手なのにいいよね。いいけど、でもなんか最後に何かが足りないんだよな。いや、最後の最後に負けて悔しがる顔がよかった!」みたいな。
その顔っていうのはキャリアと試合を重ねていかないと出ない表情、出せない表現なんですよ。見ているお客さんはそいつの悔しがっている顔を見て「ああ、悔しいんだな」と思うだけで、それ以上はなんとも思わないかもしれない。だからこそ、そこをどう伝えるかが大事で、実況や解説の人にもそこに着目してもらえればお客さんに伝わるじゃないですか。そういう表現の部分も「スイーツ真壁」をやっているうちに気づいて、まわりが気づいていないところも全部伝えなきゃいけないよなって。だって、それが伝えられたら、プロレスがよりおもしろく見られるじゃないですか。
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