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【格闘技】今の朝倉未来は「成熟したMMAファイター」 世界のTK・髙阪剛がクレベル戦を絶賛 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――オーバーフックは何度か見られましたね。

「オーバーフックは、実は"諸刃の剣"なんですよ。上から腕を抱えているということは、裏を返せば、相手は下から脇を差している状態なんです。だからこそ、オーバーフックが効かなくなって状況が悪くなりそうだと感じたら、自らフックを解除する判断力が求められる。未来選手はそこも最初から想定して使っていたと思います」

――仮にオーバーフックが通用しなかったとしても、次の展開も用意していたということでしょうか?

「あの落ち着きぶりは、おそらくそうでしょうね。次の選択肢をしっかり用意して試合に臨んでいたはずです」

【朝倉は「荒々しさはなったかもしれませんが......」】

――朝倉選手がクレベル選手の仕掛けを徹底的に防いだ、という展開?

「そうですね。あの日のクレベル選手は、状態も悪くなかったと思います。仕掛けや狙いも明確でした。でも、未来選手はそれをさせなかった。クレベル選手にとって心地よいリズムだったり、『やれている』という感覚にさせない展開に持ち込んでいました。クレベル選手がノッてくる展開にさせなかった、という印象ですね」

――クレベル選手は、手詰まりのような状態?

「そうですね。最初の仕掛けは出せているんです。でも、そこで止められてその先にいけない。未来選手がとにかく冷静で、そして基本に忠実だった。例えば、トップポジションを取ったときに肘を開かない、しっかりとベースを作る、といった基本を崩さず戦っていました。鉄槌を落としても、深追いせず基本のベースに戻していましたね」

――以前はスタンド勝負を主軸にしていましたが、最近は"混ぜる"闘い方に変化した?

「20代の頃にあった荒々しさは、ある意味なくなったかもしれませんが、今の未来選手には『成熟したMMAファイター』という言葉がぴったりだと思います。あの試合展開ができるのであれば、相手にとっては非常に攻略しづらくなるでしょう。何か仕掛けようとしても、その前に潰されてしまいますから、かなり厄介だと思いますね」

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