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【格闘技】今の朝倉未来は「成熟したMMAファイター」 世界のTK・髙阪剛がクレベル戦を絶賛 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――以前から言われていた腰の重さや組みの強さが、クレベル選手を相手にしたことであらためて際立ったのではないでしょうか?

「ロープ際でクレベル選手がテイクダウンを狙っても、未来選手は身体を残せていました。本来、未来選手にとっては、止まっているよりも動いている時間のほうが心地よい闘い方なんだと思います。

 今までは組まれた後でも、体をずらしたり、入れ替えたりして距離を取って、打撃に持ち込む。そういうスタイルでしたよね。今回は、クレベル選手の仕掛けをまず止めることに重点を置いて、自分も止まる選択をした感じでした。腰を落として、頭を押して、クレベル選手に徹底的に何もさせなかった」

――前回の対戦とは違うと感じさせたシーンのひとつに、1ラウンド序盤のスイープがありました。クレベル選手にテイクダウンされながら、素早く上を取り返しましたね。

「はい。あれを『フィジカルの強さだ』と言う人もいるかもしれませんが、タイミングなんです。あの場面では、むしろ力を抜くことが大事。相手を上に乗せるために、あえて一度力を抜いて呼び込む動作が必要です。

 逆に『返してやるぞ』という力みがあると、相手に伝わってしまって乗ってきてくれません。序盤からあの動きを冷静にできたのは、今の未来選手が自分の力をよく理解している証拠ですね。それに、やっぱり負けん気の強さも(笑)。『そんな簡単にいい状態を作らせないよ』と」

――仕掛けても止められるクレベル選手のほうが、心身の疲労具合は大きくなるものですか?

「大きかったと思います。試合が進むにつれて、『いや、ちょっと待てよ......』と。いつもは進めるはずの筋道を途中で分断されてしまうような感覚ですよね。それが続くと、体力的にももちろんですが、メンタルの消耗も大きいですよね」

(後編>>)

【プロフィール】

■髙阪剛(こうさか・つよし)

学生時代は柔道で実績を残し、リングスに入団。リングスでの活躍を機にアメリカに活動の拠点を移し、UFCに参戦を果たす。リングス活動休止後はDEEP、パンクラス、PRIDE、RIZINで世界の強豪たちと鎬を削ってきた。格闘技界随一の理論派として知られ、現役時代から解説・テレビ出演など様々なメディアでも活躍。丁寧な指導と技術・知識量に定評があり、多くのファイターたちを指導してきた。またその活動の幅は格闘技の枠を超え、2006年から東京糸井重里事務所(現在は「株式会社ほぼ日」)にて体操・ストレッチの指導を行っている。2012年からはラグビー日本代表のスポットコーチに就任。現在は、RIZINで活躍する堀江圭功選手や上田幹雄選手らを指導している。

◆Twitter:@TK_NHB
「髙阪剛」はこちら>>
https://twitter.com/TK_NHB

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https://alliance-square.jp/

著者プロフィール

  • 篠﨑貴浩

    篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)

    フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。

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