井上尚弥の防衛戦を観戦したメイウェザーの叔父は「これまでにない姿」 超大物プロモーターには中谷潤人戦について直撃 (3ページ目)
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ジェフは言った。
「流石のイノウエも、ラスベガスの大きな会場の雰囲気に平常心でいられなかったんじゃないか。心なしか、顔つきも硬いように見えた。そして、カルデナスはイノウエが思った以上に手強かったんだろう。
確かにモンスターはダウンした。ネリがサウスポー、カルデナスはオーソドックスだけれど、パンチの軌跡は似ていたんじゃないか。イノウエの弱点と呼べるのかもしれない。
しかし、ダウン後にきちんと立て直した点を俺は評価したい。あのモハメド・アリも、左フックを苦手としていただろう。ボディへの攻撃もなかった。でも、自分のボクシングを貫いてボクシング界最大の存在になった。イノウエは3ラウンド以降、彼ならではの戦いをした。その結果、タフな挑戦者にKO勝ちしたんだから見事だよ」
ラスベガスで挑戦者カルデナス(左)を迎え撃った井上 photo by Top Rankこの記事に関連する写真を見る
とはいえ、とジェフはつけ加えた。
「ずっと、イノウエという選手はパウンド・フォー・パウンドKINGを争う男だと俺は考えてきた。でも今日の試合を見て、そこまでじゃない気がしている。打ち合いのなかで、挑戦者のパンチをもらうシーンもあった。左フックだけじゃなく、右ストレートもワンツーも被弾した。これまでにない姿だったな」
同じく、井上尚弥がWBA/WBC/IBF/WBOスーパーバンタム級タイトル4度目の防衛に成功した様を、アリーナの記者席から見届けたブレンダン・テイラーも語った。
「イノウエvs.カルデナス戦は、モンスターにとって非常に重要な試合だった。ここ数日、ニューヨークとサウジアラビアで大きなボクシング興行が行なわれたが、内容はお寒かった。一方でイノウエは、カルデナスとクラシックな打ち合いを繰り広げた。人生で2度目のダウンを経験しながらも、ピンチを冷静に切り抜け、最後はきっちり仕留めたよね。彼はアメリカのボクシングファンの心を掴み、特別なファイターであることをあらためて示したんじゃないか。
でも同時に、スーパーバンタム級が彼にとって、限界となる可能性も見せた。モンスターは、階級を上げ続けられる体格じゃない。ひとつ上のフェザー級は、彼にとって非常に危険だ。ラモン・カルデナスは左フックでイノウエを倒したが、近く日本で防衛戦を行うIBF王者のアンジェロ・レオの持つ左フック、フットワーク、パワーはイノウエを窮地に追い込むだろう。また、セミファイナルでWBOタイトルを防衛したラファエル・エスピノサのサイズ(身長185センチ、リーチ188センチ)と粘り強さは、イノウエ、そしてフェザー級のどんな選手に対しても脅威だ」
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