吉成名高がムエタイの変化と受け継がれる本質を語る「無事にリングを降りられるようにという祈り」 (3ページ目)
【肘へのこだわり】
――吉成選手の攻撃は多彩ですが、コンビネーションの最後は何で終わるかなど、意識されている事はありますか?
「特に意識しているわけではなく、体が自然に動いていることが多いです。狙って出しているという感じではありません。考えるよりも先に体が反応する感じです」
――吉成選手の肘打ちは、カットによるTKOではなく、KOで試合を決める印象があります。そこにこだわりは?
「肘で相手の瞼や額を切って出血させて試合をストップさせるスタイルもあると思いますが、僕は、相手の顎やこめかみを狙って、ガツンと当てて倒す方がしっくりきます。肘でカットしたことはあまりないんですよ」
――カットではなくKOを狙う理由はなんですか?
「単純に、カットする肘があまり得意ではないというか(笑)。あまりイメージできないんですよ」
――得意じゃないこともあるのが意外でした。肘打ちの練習は対人では試せないでしょうから、ミット打ちが主になると思うのですが、試合で実際に相手に肘を入れたとき、練習とは感覚が違いますか?
「試合では相手の骨に当たるので、硬いじゃないですか。だからこっちも結構痛いですね(笑)。まぁ、でも相手はもっと痛いんだろうなと思います(笑)」
――相手はたまったもんじゃないですよ(笑)
「もらいたくはないですね(笑)」
【Profile】吉成 名高(よしなり・なだか)
2001年1月8日生まれ、神奈川県横須賀市出身。165㎝・56㎏。エイワスポーツジム所属。幼少期に兄の影響で空手を始め、小学3年時にキックボクシングへ。6年生の頃から本場タイで修業しながらムエタイ選手として実績を積む。2019年、日本人として初めてムエタイ最高峰の舞台である「ラジャダムナン」と「ルンピニー」の統一王者に輝いた。2023年、タイ人以外では初となるラジャダムナンスタジアム3階級制覇という偉業も達成。さらに、タイスポーツ省承認のWMO(世界ムエタイ機構)からはPFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキング1位に選ばれ、名実ともにムエタイ界において唯一無二の存在となる。現在、破竹の35連勝中。
3月23日に開催される ONE Championship「ONE 172: 武尊 VS ロッタン」 では、元ルンピニースタジアム王者ラック・エラワンとの一戦が決定。ムエタイの伝統とONE独自のルールが交錯する中、吉成がどのように新たな歴史を刻むのか、世界が注目している。
通算成績は68戦61勝(39KO)6敗1分。
◆ONE 172: 武尊 VS ロッタン
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著者プロフィール
篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)
フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。
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