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【新連載】K-1の熱狂のなかにいた佐竹雅昭 空手家を志したきっかけは「光って見えた」ある一冊の本だった (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji

【大きくなっていった「格闘技をやって、有名になりたい」という思い】

 小学校時代にやっていたスポーツは野球だ。

「ポジションは捕手でした。チームはメンバーが10人しかいなくてコールド負けばかりの弱いチームだったんですけど、一生懸命に練習して、僕が6年生の時に大阪市の軟式野球大会で2位になったんです。まるで、映画『がんばれ!ベアーズ』がそのまま現実になったようなチームでした(笑)」

空手、K-1でも活躍した佐竹 photo by Kyodo News空手、K-1でも活躍した佐竹 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

 ヒーローに憧れ、少年野球で汗を流した佐竹少年。そして中学生になり、格闘家の道へと進むきっかけになった漫画と出会う。

「当時、週刊少年ジャンプで連載が始まった『リングにかけろ』です。車田正美先生のあの漫画が読みたくて、毎週、書店に行きました。主人公の高嶺竜児を含む5人のチーム『日本Jr.』の全員が好きでした。志那虎(一城)のスペシャルローリングサンダーも最高でしたね(笑)。

 それで、パワーリストを着けてパンチ力を強化する高嶺に影響されて、僕もパワーリストを着けて学校に通い始めたんです。同時にボクシングに興味が出てきて、自分でもやりたくなったんですよ。ただ、中学にはボクシング部がなかった。大阪市内でジムを探したんですが、なかなか見つかりませんでした」

 ボクシングへの興味が増していくと同時に、別の欲求も高まっていく。佐竹は書店で、週刊少年ジャンプ以外に購入していた映画雑誌や、オーディション番組に影響された。

「小学生の頃から映画が大好きで、集英社さんの雑誌『ロードショー』を購読していました。『がんばれ!ベアーズ』を観て『女優のテータム・オニールに会いたい!』と思ったのが小学6年の時。その後も雑誌を読みながら、『いつかハリウッドに行きたい』なんて夢を抱いていましたよ。

 あと、オーディション番組の『スター誕生!』も見ていて、『俺と同じような普通の人でもスターになれるんや』と有名になりたい気持ちがどんどん高まっていった。『リングにかけろ』でボクシングをやりたくなり、映画やテレビを見て有名になりたいと思うようになったんです。いろんな衝動が重なってきた時期でした」

 格闘技をやって、有名になりたい。そんな淡い夢が鮮明になったのは、『ロードショー』で実施されていた俳優の人気投票だった。

「1位がアジア人のブルース・リーだったんですよ。『この俳優ってどんなん人だ?』と思って映画を観たら、めちゃくちゃカッコよくて。『俺はブルース・リーになるしかない!』と決意しました(笑)」

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