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井上尚弥のKOが後半のラウンドに多くなった理由を山中慎介が解説「相手が『いかに倒されないか』を考えている」

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

山中慎介インタビュー 前編

 9月3日、有明アリーナで行なわれたボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王座防衛戦。王者・井上尚弥は、元IBF世界同級王者テレンス・ジョン・ドヘニーとの一戦で7回TKO勝利を収めた。あらためて"モンスター"がその強さを証明した試合について、元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏に聞いた。

9月3日に7回TKO勝利を収めた井上尚弥(左)photo by 山口フィニート裕朗/アフロ9月3日に7回TKO勝利を収めた井上尚弥(左)photo by 山口フィニート裕朗/アフロこの記事に関連する写真を見る

【ドヘニーの気持ちを折った】

――井上選手のKO予想が圧倒的に多かったと思いますが、ドヘニー選手が棄権する形の終わり方は意外でしたね。

「まさかですよね。ドヘニーは腰を負傷したということですが、どの程度ダメージがあったのか、真相はわかりません。尚弥の強烈なボディーが入って痛めた、という印象もありますけどね」

――6ラウンド終盤にボディーをもらって、インターバルでコーナーに戻る際は表情がつらそうに見えました。

「あそこで勝負がついた感じでした。ドヘニーは深いダメージを負ったのと同時に、気持ちも折れたのではないでしょうか」

――試合は中盤から井上選手の手数が増えて、ダメージングブローがヒットし始めました。KOの予感も漂い始めていましたが......。

「フィニッシュが見えてきていたんですけどね。尚弥の世界戦をずっと見てきましたが、こういう終わり方もあるんだなと」

――井上選手は、試合の立ち上がりは慎重に見えました。

「やはり(ルイス・)ネリ戦の1ラウンドでダウンしているのもありますし、ドヘニーが強烈で見えにくい左を持っているのもありますからね。試合序盤は、しっかり下へのパンチを見せていきましたね」

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