山中慎介が絶賛する、那須川天心の「距離感」と「パンチの技術」 バンタム級日本人対決の可能性にも言及 (4ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――世界王者になることを急がず、少しずつ成長していく方針は変わらないということでしょうか。

「帝拳ジムの本田明彦会長も『10戦目まで世界戦はない』と話していました。ランキングは、15位以内であれば王座への挑戦資格が与えられます。1位になれば指名試合がありますが、それ以外は過度に反応する必要はないでしょう。注目度が高いためニュースになりやすいですが、ランキングは試合ごとに動きますからね。

 気になるのは、天心は本田会長の予想を超える速度で成長しているのではないか、ということです。だからといって世界挑戦を早めるかどうかはわかりませんが、それくらい順調に成長していると思いますね」

――先ほど挙がった日本人選手の中で、山中さんが対戦を見たい選手はいますか?

「誰とやっても面白そうですが、個人的に見たいのは堤です。前日本チャンピオンで"曲者"でもある。接戦を勝ち切る力や勝負強さがある、やりにくいファイター。そんな選手を相手に天心がどう戦うのか、興味がありますね。とにかく、バンタム級だけで興行ができそうなほど、魅力的な日本人選手が揃っていますね」

――「黄金のバンタム」の覇権争い、楽しみですね。

「この先、日本人同士による統一戦の可能性も十分あり得ますから、本当に目が離せません!」

(後編:井上尚弥vsネリ「敵討ちではなく『ひとつの試合』と思ってほしい」 フェザー級転向も「問題ない」>>)

【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)

1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。
プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。

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