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山中慎介が語る井上尚弥vsネリ「敵討ちではなく『ひとつの試合』と思ってほしい」 フェザー級転向も「問題ない」

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

山中慎介インタビュー 後編

(前編:那須川天心の「距離感」と「パンチの技術」 バンタム級日本人対決の可能性にも言及>>)

 スーパーバンタム級に階級を上げ、2階級での4団体統一を成し遂げた井上尚弥。3月6日には、5月6日に同級のWBC世界1位ルイス・ネリと東京ドームで対戦することが正式に発表された。ネリと2度対戦した元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏に、今だから語れるネリへの思い、試合の展開予想、井上のフェザー級転向の可能性などについて聞いた。

3月6日の会見で対戦が発表された井上尚弥(左)とルイス・ネリ Photo by 山口フィニート裕朗/アフロ3月6日の会見で対戦が発表された井上尚弥(左)とルイス・ネリ Photo by 山口フィニート裕朗/アフロこの記事に関連する写真を見る

【ネリ戦の決着は「中盤から終盤」】

――山中さんは2月1日のWOWOWのイベントで、井上選手とマススパーをしていましたね。

「軽く向き合っただけなのですが、その短い時間でも体の頑丈さや強さを感じました。ずっしりとしている印象でしたね」

――山中さんはネリとの再戦(2018年3月1日)後に引退したので、あれから6年が経ちます。今、ネリに対してどんな感情がありますか?

「体重超過については、いまだに『なぜ?』と考えることがあります。ただ、6年が経って怒りの感情は薄れてきましたね。ネリはその後も体重オーバーをやらかしていますが......」

――エマヌエル・ロドリゲス戦(2019年11月23日)の前日計量で1ポンド(約450グラム)オーバー。試合は中止になりました。

「実力があるにも関わらず、なぜ体重オーバーをしてしまうのか......。スーパーバンタム級に上げてからブランドン・フィゲロアには負けましたが、その後は勝ち続け、今の位置(WBC世界同級1位)にいるわけですからね」

――ネリの戦績は36戦35勝(27KO)1敗。唯一の敗北は2021年5月15日のフィゲロア戦で、7ラウンド、左ボディでのKO負けでした。あの試合は、ネリがスーパーバンタム級に上げて2戦目でしたが、その後は4連勝。直近の3試合はKOで勝利しています。

「スーパーバンタム級にアジャストしたんでしょう。どれくらいの減量幅なのかわかりませんが、体が大きくなってパワーも増している可能性があります」

――ネリはサウスポーですが、どんなファイトスタイルですか?

「打ち始めると回転力がどんどん上がって止まらないイメージです。特に、相手をロープ際やコーナーに詰めた時は際立ちます。それは、体のバランスが悪いとできない。めちゃくちゃスピードがある、というタイプではないんですが、パンチの軌道とタイミングが独特でパンチが"遅れてくる"感じです。それはネリに限らず、メキシカンの特徴ですね」

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