井上尚弥の2階級・4団体統一戦を米識者3人が展望 タパレスの大番狂わせのチャンスは? 勝利後の次戦で対戦してほしい相手は? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

3. タパレスが大番狂わせを可能にするために必要なことは?

アイデック:失うものがないタパレスを過小評価すべきではない。タパレスにとっては"人生最大のチャンス"であり、井上に勝つようなことがあればとてつもない物語になる。なんでも起こり得るのがボクシングであり、ワンパンチで流れは変わるもの。井上もノニト・ドネア(フィリピン)との1戦目ではダメージを受ける姿を見せている。

 ただ、井上は最高級のボクサーであり、今回の試合が自身だけでなく、母国の人々にとってどんな意味を持つかわかっている。日本のファンのとてつもなく大きな期待を背負った試合で、対戦相手を軽く見たり、油断することはないはずだ。だとすれば、パウンド・フォー・パウンド最高級のボクサーであり、全盛期を迎えている井上がタパレスに負ける姿は想像し難い。

ナム:タパレスに勝機があるとすれば、井上に距離を詰めさせず、左パンチのカウンターを入れられた時だけだろう。サウスポースタンスからの強打は警戒すべきだ。辛抱強く、注意深く戦い、アフマダリエフ戦のようにジャブをうまく使うこと。ただ、相手の質を考えれば、前戦と同じように戦う難しさは並大抵ではない。

ジッテル:波乱があるとすれば、井上が自信過剰になって油断した場合のみ。世界ヘビー級王者のタイソン・フューリー(イギリス)も、フランシス・ガヌー(カメルーン)を軽く見て大苦戦したばかりだ。ただ、規律を重んじる井上に同じことが起こるとはとても考えられない。

4. 井上が勝った場合、次に対戦してほしい相手は?

アイデック:タパレスに勝ったら、井上にはスーパーバンタム級でやり残した仕事はなくなってしまう。今後、昇級を続けた場合にどこが限界になるかが注目ポイントになるだろう。個人的には、一階級上のフェザー級も限界だとは思わない。

 同じトップランク社のボクサーで、デビュー戦の敗北以降は連戦連勝のWBO世界フェザー級王者、ロベイシ・ラミレス(キューバ)はとても優れた選手だ。プロモーターのボブ・アラム氏は井上vsフルトンの前から、井上vsラミレス戦の可能性について話していた。ラミレス自身、井上vsフルトンのセミファイナルで防衛戦も行なった。だとすれば、近いうちに井上vsラミレスが実現すると見るのが妥当だろう。

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