「プロレス1本に絞れ」...東京女子プロレスの「無冠の女王」角田奈穂が語る、アンチが湧いてもリングに上がり続ける理由 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

【究極のマゾヒスト】

 マジカルシュガーラビッツ(瑞希&坂崎ユカ)が坂崎の首の負傷欠場に伴い、プリンセスタッグ王座のベルトを返上。空位になったベルトを賭けて、2023年9月9日、広島大会にてプリンセスタッグ王座決定戦の予選が行なわれた。中島翔子&ハイパーミサヲvs角田奈穂&乃蒼ヒカリvsらく&原宿ぽむ。勝ったのは、角田と乃蒼のタッグ、ふりーWiFiだった。

 10月9日(月祝)、たま未来メッセ大会にて、第2予選で勝利した東洋盟友(上福ゆき&桐生真弥)と王座決定戦を行なう。

 プリンセスタッグ王座のベルトの価値は、どんどん上がっていると角田は感じている。白昼夢(辰巳リカ&渡辺未詩)、令和のAA砲(赤井沙希&荒井優希)、121000000(ワン・トゥー・ミリオン/山下実優&伊藤麻希)、マジカルシュガーラビッツ......人気と実力を兼ね備えたチームが、その価値を上げてきた。だからこそ角田は悲願のベルトに手を伸ばしたいと思っている。

「アクトレス時代、同期の本間多恵とともに『以下省略。』でタッグのベルトを巻くことを夢見てきました。でも、団体にタッグのベルトはなかったんです。東京女子に入ってからベルトへの想いは強くなっていますし、その中でも信頼するヒカリちゃんと一緒に巻くことができるタッグのベルトには特別な思いがあります」

 瑞希は可愛いけどパワフルで体力も底なし、誰にも真似ができないような技を繰り出す。山下実優は飛び抜けたモンスター。伊藤麻希は巧みな言葉とカリスマ性で世界から注目されている。東京女子の誰もが光るものを持っているのに「自分は人から憧れられるようなタイプの人間ではない」と言う。しかし、そんな自分が頑張ることで、自分も頑張ろうと勇気を与えられるような存在でありたいと思っている。

「私が頑張ることで、ファンの方や後輩たちが頑張れる理由になるんだったら、ずっと頑張っていたいという気持ちです。ベルトを獲らなければ見えない景色があると思うし、こんな私がベルトを獲ることで勇気を与えられたらいいなと思う」

 公務員をやめ、地下アイドル、グラビアアイドルを経て、舞台女優とプロレスラーの二足の草鞋を履く角田奈穂。「プロレスの痛みが抜けると物足りない」と語る究極のマゾヒストである彼女は、明らかに普通ではない。"無冠の女王"は初のベルト戴冠となるか。決戦の時が刻一刻と迫っている――。

【プロフィール】
●角田奈穂(かくた・なお)

1987年3月20日、千葉県東金市生まれ。専門学校卒業後、公務員保育士になるも、職場でいじめに遭い、2カ月で退職。趣味で始めた殺陣がきっかけで、地下アイドル活動を始める。グラビアアイドルを経て、2008年、舞台女優デビュー。2015年、アクトレスガールズプレ旗揚げ戦にて、プロレスデビューを果たす(対本間多恵戦)。2020年10月5日、アクトレスガールズを退団し、11月14日より東京女子プロレスにレギュラー参戦。2022年1月、乃蒼ヒカリとタッグチーム「ふりーWiFi」を組み、2023年10月9日、たま未来メッセ大会にて開催されるプリンセスタッグ王座決定戦に臨む。161cm。X(旧Twitter):@kakuta_nao

■大会情報
【大会名】WRESTLE PRINCESS IV
【日時】2023年10月9日(月) 開場13:00 開始14:00
【会場】東京・東京たま未来メッセ(八王子市)

詳細はDDTプロレスリング公式サイトへ>>

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