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「プロレス1本に絞れ」...東京女子プロレスの「無冠の女王」角田奈穂が語る、アンチが湧いてもリングに上がり続ける理由 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

【アンチの言葉を飲み込みそうにもなる】

 厳しい環境の中でやってきたが、東京女子プロレスはアットホームで、縦社会という雰囲気ではなくみんな仲がいい。初めは育ってきた環境とのギャップに思考が追いつかないことが多かった。

 2021年4月17日、後楽園ホール大会にて上福ゆきが持つインターナショナル・プリンセス王座に挑戦。その時に「ベルトを獲って東京女子のみんなに近づきたい」と言ったのが印象的だった。

「どうしてもみんなとの壁を感じていたので、チャンピオンになれば嫌でも団体の人間としてやっていけるかなと思ったんですよね。今思うと、タイトルマッチをやるくせに、自分のことしか考えていなかったなって。今じゃ絶対に思わない思考ですね」

 角田はデビュー以来、ベルトを巻いた経験がなく「無冠の女王」と呼ばれている。インターナショナル・プリンセス王座が初めてのタイトルマッチだった。その後も何度かタイトルに挑んでいるが、やればやるほどアンチが湧いた。「チャンピオンになれないのは、舞台をやっているからだ。プロレス1本に絞れ」「年齢もキャリアも中途半端な無冠の女はいらねーよ。ババア早く辞めろ」――。

「いかに腐らないかを考えて生きています。じゃないと本当にネガティブになっちゃう。いまだに自分はプロレスに向いていないと思うし。『アンチ、くそ!』と思うけど、『まあそうだよね』と飲み込みそうになる瞬間もある」

 2023年4月15日、後楽園ホール大会にて、プリンセス・オブ・プリンセス王座に初挑戦した。3月に瑞希と坂崎ユカの壮絶なタイトルマッチを観た角田は、新チャンピオン・瑞希に「一番に挑戦したい」と思ったという。しかし、またしてもベルト戴冠とはならなかった。

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