寺地拳四朗から那須川天心への伝言「課題はわかっているはず」 あえて助言するなら「駆け引きが毎回リセットされている」 (4ページ目)

  • 会津泰成●文・取材 text by Aizu Yasunari
  • ヤナガワゴーッ!●撮影

 ネット配信が普及したおかげで、観たい試合があれば世界のどこにいても観戦できるようになり、またモンスター井上尚弥の出現で、日本のボクシングは世界からも注目されるようになった。今回の興行に出場した拳四朗、天心、そして、「ネクストモンスター」と期待される中谷潤人以外にも、世界基準の日本人ボクサーが何人もいる。イベントや中継の工夫次第で、過去とは違ったスタイルで、日本でボクシングが盛り上がる要素は揃っている気がした。

 ちなみにAmazonがスポーツのライブ中継第1弾として配信した世界ミドル級王座統一戦、村田諒太(帝拳)対ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)は、ボクシングで日本史上最大の興行となった。同社が、独占配信権、システム整備費、広告費など10億円近くを投資。村田にも約6億円の報酬が支払われたという。

 この試合の視聴者数は日本で単日の最高記録を更新。新規会員加入者数もトップ3に入るほどだった。そういった流れのなかで、Amazonは今回も継続してボクシング中継に取り組み、拳四朗はメインイベンターとしてリングに上がったのだ。

 いまや10年ひと昔どころか1、2年で思いも寄らないことが当たり前のように実現する時代だ。4団体統一、そして2階級制覇とファンの期待に応えるような戦いを続けていけば、誰もが驚くような拳四朗のビックマッチが現実になる日も、そう遠くないかもしれない。

Profile
寺地拳四朗(てらじ けんしろう)
1992年1月6日生まれ、京都府出身。プロ戦績は23戦22勝(14KO)1敗。
元日本ミドル級王者で、元OPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者の寺地永を父に持ち、中学3年からボクシングを始めた。大学卒業後プロテストに合格し、その年の8月にプロデビューした。2017年、WBC世界ライトフライ級王座を獲得。2021年4月までに8度の防衛に成功したが、9度目で矢吹正道に敗れた。昨年、王座を奪い返すと、京口紘人とのWBA、WBC世界ライトフライ級王座統一戦でも見事勝利。今回のブドラー戦でWBA2度目、WBC3度目の防衛に成功した。

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