寺地拳四朗から那須川天心への伝言「課題はわかっているはず」 あえて助言するなら「駆け引きが毎回リセットされている」 (2ページ目)

  • 会津泰成●文・取材 text by Aizu Yasunari
  • ヤナガワゴーッ!●撮影

【めっちゃ盛り上がる試合がしたい】

 現役時代は重量級で日本&東洋のベルト巻いた名ボクサーだった父、寺地永氏が会長を務める京都BMBボクシングジム所属の拳四朗は、東京で世界戦を開催した際にサポートしてもらったことが縁で、現在は主に、レベルの高いスパーリングパートナーを探したり、前述した加藤に教えを請うために三迫ジムで長期出稽古を続けている。

「本当に、チーム一丸で強くなってきた。僕ひとりではここまで辿り着けなかった。三迫会長、トレーナーの加藤さん、スタッフ、選手、一般会員さんも含めてみんなの協力に支えられてここまで成長できたことに心から感謝しています」(拳四朗)

 三迫ジムは、昭和のボクシング人気全盛期、輪島功一はじめ3人の世界チャンピオンを輩出した老舗ジムだ。現在も数多くの有望選手を抱える名門ジムとして看板を守り続けている。

 そんななか、本来は他ジムの選手である拳四朗に対しても所属選手と同じように愛情を持って、4団体統一世界王者という目標に向けて全面サポートしている。

 拳四朗をそこまで応援する理由について三迫会長は「何よりも拳四朗の人柄によるところが大きい。これが自分勝手な考えの選手ならば、誰も応援しない」と話した。

「拳四朗だから(サポート)できているように思います。うちの選手たちもみんな拳四朗が大好きで、仲間と思っているからこそ手伝いにきたり、応援にもきてくれる。逆にうちの選手にとっては、世界チャンピオン、稀代のスーパーチャンピオンを間近で見られる、一緒に練習できる、なおかつ一緒にマス(ボクシング)やスパーをするのは、なかなか経験できないことです。

 拳四朗の敗北から立ち上がるまで(2021年9月22日、9度目の防衛をかけた対矢吹正道戦でプロ初黒星を喫しWBC王者陥落。引退も考えたが半年後のリターンマッチで3回KO勝ちし、ベルトを取り戻した)も、みんな全部間近で見てきた。ボクシングの技術だけでなく、メンタル面の学びや経験も含めて、他では味わえないものをうちの選手たちはもらっている。なので、相乗効果だと思います。普段の練習でも若い子がどんどん上がってくる姿を見て、拳四朗も刺激を受けて自分を追い込んでいます」(三迫会長)

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