「オリンピックを目指すのは時間がもったいない」入江聖奈に敗れ東京五輪出場ならず→プロボクサーに 晝田瑞希の新しい夢はアメリカの大舞台 (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【目指すはMSGのリング】

――スーパースターになるために、具体的に強化したいところは?

「もう少し力強いボクシングをしたいです。打ち合いもできるし、足もしっかり使えるような。その上で決めるところは、しっかり決める。トータルでパワフルなボクシングがしたいんですが......ビビりなので、試合ではどうしても守りに入ってしまいがちなんです」

――試合を見る限り、そんな印象はありませんが......。

「世界戦でも安全圏で闘ってしまって。ギリギリの距離で打ち合えれば、もっと決定打を与えられたと思うんです。自信をもってもう1歩踏み出して闘えるように、技術もパワーも上げていきたいです」

――憧れの選手はいますか?

「『スーパースターになった未来の自分』って言いたいところですけど......挙げるとすれば、(昨年4月に)ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で闘ったケイティー・テイラー選手とアマンダ・セラーノ選手の試合が忘れられません。映像でも、どこまで観客がいるのかわからなかった。あんな会場で盛り上がる試合をした2人はかっこよかったです。

 私は特に、同じサウスポーのアマンダ・セラーノ選手が好きですが、女子ボクサーとしてあの舞台に立つことは憧れです。私もいずれは、MSGのリングにも立ちたい。私は目の前の目標に集中するタイプなので、世界王者になるまでは先のことを話してきませんでしたが、海外の大きな舞台に立つという新たな夢は、はっきり口にしながら目指したいです」

――晝田選手のキャラクターは、アメリカでもウケそうですね。

「インパクトはあるかもしれませんが、アメリカはより実力社会だと思うので、実力でも認めてもらえるくらい強くなりたい。あちらでは重い階級が人気ですし、女子の軽い階級、しかもアジア人ボクサーはチャンスが少ないかもしれません。それでも私は、『女子のアジア人ボクサーでもここまでできるんだ』と思わせたいです!」

【プロフィール】
晝田瑞希 (ひるた・みずき)

1996年4月12日、岡山県岡山市生まれ。現WBO女子スーパーフライ級王者。身長163cmのサウスポー。岡山工業高等学校でボクシングを始め、卒業後は自衛隊体育学校に進学。全日本女子選手権はフライ級 (2018年)、フェザー級 (2019年)で優勝。東京五輪出場を目指したが最終選考で入江聖奈に敗れた。2021年3月に自衛隊を除隊し、三迫ジムに入門。 同年5月にプロテストに合格し、10月にプロデビュー。2022年12月のプロ4戦目で世界タイトルを手にした。アマチュア成績は45戦29勝(13KO/RSC)16敗。プロ成績は4戦4勝。

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