「オリンピックを目指すのは時間がもったいない」入江聖奈に敗れ東京五輪出場ならず→プロボクサーに 晝田瑞希の新しい夢はアメリカの大舞台 (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【次のオリンピックを目指すのは「時間がもったいない」】

――その後、晝田選手も世界の頂点に立ちました。少し話は戻りますが、アマチュアからプロになり、本気でやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

「正直、プロになる前は『オリンピックをもう1回目指そうかな』とも思いました。パリ五輪から、私にぴったりな階級が設けられるかもしれないという話も聞いていたので。すごく悩んだんですが、『ここまで悩むということは、私は本当にボクシングが好きなんだな』と再確認することができたんです。

 アマチュア時代は、実力だけじゃないさまざまな部分で悔しい思いをすることがありました。そういったストレスを感じながら次のオリンピックを目指すのは『時間がもったいない』と思うようになって。私は表現することも好きだから、プロの世界のほうが楽しいんじゃないかとワクワクしてきて、新たな挑戦に踏み出したんです。早く気づいていれば、もっと強い選手になれていたかもしれませんけど、それは"タラレバ"ですね」

――プロの世界王者に目標を変えたわけですね。

「世界王者というよりは、自分が幸せになるための目標という感じかもしれません。オリンピックに出場できなくても、ずっと応援してくれていた人たちのことを、ボクシングで幸せにできたら最高だなって」

――晝田選手は「スーパースターを目指す」とも公言していますが、どんなイメージですか?

「一般的なボクシングのスーパースターといえば、男子ですが井上尚弥選手ですよね。弱いところがひとつもない。でも、私はあんな選手には絶対になれません。ボクシングでいいことも苦しいこともあって、悩みながらここまできました。すぐ泣くし、怒るし、ホームシックにもなる。そんな私が頑張ることで、『勇気を出して1歩踏み出せば輝けることがある』ことを証明したい。プラスのエネルギーを発する選手になって、頑張ろうって思ってくれる人をひとりでも増やしたいです」

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