堀口恭司が考える、日本の総合格闘技が「遅れてる」理由。RIZINとBellatorの対抗戦でも見えた「完成度の差」はなぜ生まれるのか (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【MMAファイターとしての完成度の差】

――外国人選手と日本人選手では、フィジカルの差が指摘されることもありますが、その点についてはいかがですか?

「関係ないと思います。フィジカルに差があるならば、フィジカルじゃなく技などで勝負する。僕としては、『フィジカルの差』というのは言い訳なんじゃないかなと思います」

――RIZINとBellatorの対抗戦では、Bellatorの選手たちのMMAファイターとして完成度の高さが見えたような印象もあります。

「そこも日本は、ちょっと遅れているかもしれません。少し前なら、打撃や寝技、ひとつ秀でていればけっこう勝てていました。だけど、そのストロングポイントを重点的に対策されちゃうと、突破口がなくなるような感じになってきている。それでも、対抗戦の大将戦でAJ・マッキー選手と戦ったホベルト・サトシ・ソウザ選手は、得意な寝技にうまく持っていって決めようとしていましたけど......やっぱり攻略されてしまいますよね(3-0でAJ・マッキーの判定勝ち)」

――MMAファイターとして穴をなくすためには、ボクシングやキック、柔術、レスリングなど、さまざまな練習が必要だと思います。堀口選手はそれぞれの技術を、どのようにMMA
に落とし込んでいるんですか?

「それぞれを練習して、使えるかなと思った技をピックアップしてMMAのスパーリングで試す。それを何回かやってみて、うまくいったものだけを取り入れます。うまくいかなかった技でも、『有効だな』と思った技は磨いていくこともありますね。

技の取捨選択は自分で判断することもあるし、スパーを見ていたマイクに『どうでした?』って聞くこともあります。それで『よかったじゃん』って言われたら使うようにしたり。取捨選択する手段は、いろいろありますよ」

(中編:堀口恭司が「最強のMade in JAPAN」になるまで。空手でボコボコにされた日、師匠KIDとの渡米前のやりとり>>)

【プロフィール】
堀口恭司(ほりぐち・きょうじ)

1990年10月12日生まれ、群馬県高崎市出身。5歳から空手を始め、高校卒業後に山本"KID"徳郁氏のジム「KRAZY BEE」に入門。2010年に修斗でプロデビューを果たし、2013年からUFCに参戦。2017年にRIZINと契約し、翌2018年12月にRIZINバンタム級、さらに2019年6月にBellatorバンタム級の王座を獲得。2大タイトル同時制覇を成し遂げた。2019年11月に負傷により両タイトルを返上。翌年12月の朝倉海戦で王座を奪還した。現在はRIZINとBellatorの両団体で活躍中。

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