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入江聖奈「カエルはラブリーで尊い」。ボクシング継続を望む声にもキッパリ「きつい練習するのは私なんで」

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 吉楽洋平●撮影 photo by Kichiraku Yohei

文武両道の裏側 第14回 
入江聖奈(東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダル) 後編(全2回)

 2021年開催の東京五輪女子ボクシングフェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈(日本体育大学4年)。2022年11月の全日本選手権で2年連続3度目の優勝を果たし、その大会を最後にボクシングの世界から引退した。

 この春からは東京農工大学大学院の修士課程で、カエルの研究をスタートさせる。ボクシングで「武」を極め、これから「文」も極めようとしている入江がイメージする「文武両道」とは。

今春から大学院でカエルの研究を始める入江聖奈今春から大学院でカエルの研究を始める入江聖奈この記事に関連する写真を見る* * *

【緊張で死ぬかと思った試合】

ーー東京五輪ボクシング女子フェザー級では、5試合を戦って金メダルを獲得しました。一番苦しかった試合は?

入江聖奈(以下、同) 5試合で一番苦しかったのは、メダル確定がかかった準々決勝でした。緊張で死ぬかと思いました。初めての経験だったんですけど、計量後のご飯が食べられなくなっちゃったんです。メダルがあるかないかで、人生が変わると思ったので、すごく自分で自分にプレッシャーをかけてました。

 だからメダルが決まった時には、本当にホッとした、安心したという部分が大きくて、初めてボクシングのことでうれし涙を流せた瞬間でもあって。心の底から感動しました。

ーー逆に、東京五輪で一番楽しかった試合は?

 一番楽しかったのはメダルが確定して、「あとは決勝にいくしかない」と思って戦った準決勝です。メダルも決めたし、何もかかってなくて決勝にいけたらいいかなと。一番欲がない試合だったので、すごく気楽に臨めました。もしかすると、それがよかったのかなと思ってます。

ーー金メダル獲得後、変わったこと、変わらなかったことは?

 東京五輪のメダル獲得は、自分のこれまでの過程が形として表れた瞬間でもあり、誰でもわかってくれる価値ある瞬間だと思うんです。だから、まずはメダルというのが自分のなかでの線引きだったので、それが金メダルという最高の結果になったのは、本当にうれしかったんです。

 でも金メダルを獲ったからといって、自分自身は変えないように努めましたし、調子に乗らないようにしてました。いろんな意味で自分の周りの環境が変わっていきましたけど、自分の生活や好きなこととかは変えないように、というか変わらなかったですね。

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