仮面の女子プロレスラー、ハイパーミサヲが明かす壮絶な過去。大学時代に青山霊園から緊急搬送されるなど「どん底でした」 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

青山墓地で酩酊し、緊急搬送

 青山墓地までの道を歩きながら、常に鞄にしのばせていた薬を酒で流し込んだ。酩酊し、とある文豪の墓の前で倒れた。

 翌朝、通行人に発見され、病院に搬送された。顔面に大ケガをするも命に別状はなく、救急病棟をあとにした。

「運がよかったのか悪かったのか、顔面ボコボコでオムツして車いすに乗せられてたけど命に別状はなくて。きっと私、めちゃくちゃ生命力があるんですよ。『死にたい、死にたい』って言いながら生きてるんですけど、めちゃくちゃ生命力がある。だからたぶんプロレスラーになってるんですよね。打たれ強いんです」

 もう1年、留年し、なんとか大学は卒業した。しかし就職活動をする気力もなく、引きこもりのような生活が続いた。

「自殺未遂で両親に迷惑をかけてしまったので、その頃はまた『枠のなかで生きていかなきゃいけない』という考えに戻っていて。これからは死なないように、死んだように生きていくしかないんだなと絶望していました」

 そんなある日、母親から「ハンドメイドインジャパンフェスに行きたいから、一緒に来てほしい」と頼まれ、ミサヲは東京ビッグサイトへ向かった。そこで彼女が生まれて初めて目にしたもの。のちの人生を大きく変えることになるもの。それがプロレスだった。

(後編:結婚後もデスマッチで味わう「生きてる感じ」。「らしくあらねばならない」という概念を破壊し続ける>>)

【プロフィール】
■ハイパーミサヲ

1990年1月3日、茨城県生まれ。165cm。青山学院大学文学部卒業後、引きこもり生活を送るなか、東京ビッグサイトで開催されたDDT路上プロレスを観戦し、プロレスラーを志す。2015年2月28日、東京女子プロレス新宿FACE大会にて、MIZUHOと組み、対KANNA&木場千景戦でデビュー。2018年5月3日、後楽園ホール大会にて、葛西純とエニウェアフォールマッチで対戦。「東京女子プロレスの愛と平和を守るニューヒーロー」として、コミカルな試合を展開している。

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