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井上尚弥はなぜ「世界2位」なのか。
PFP選考委員が考える1位との差 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 米最王手のプロモーション会社、トップランク社との契約初戦でもあったマロニー戦は、井上の"お披露目ファイト"の趣がある試合だった。PFPの評価は、見かけ上の戦力に加え、レジュメ(戦歴)、最近の対戦相手の質なども問われる。絶対有利が予想された一戦で井上が圧勝しても、『リングマガジン』が1位に据えるサウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)を凌駕するだけの評価を与えるのは難しかったということだろう。

 ただ、パネリストたちの間でも日本のモンスターが大人気であることは付け加えておきたい。ランキングの上下は議論の対象にはならなかったが、グループメールによる話し合いの中で井上への熱い想いを語ったメンバーは少なくなかった。

「私は1年以上も前から『井上が世界最高の選手だ』と言い続けている。もちろん彼をパウンド・フォー・パウンド1位に推したいが、まだ他の選考委員からはカネロを押し除けるだけの支持は得られないのだろう。ただ、私は我慢強いんだ!」(アダム・アブラモビッツ記者【アメリカ】)

「井上は世界中でもっとも好きな選手。現状、カネロの戦歴を飛び越えるには至らないが、その日が来るのを祈っている。井上(の強さ)は現実離れしているよ」(トム・グレイ記者【イギリス】)
 
「私の中では井上が1位だが、まだ戦績でカネロに劣っている。なぜなら、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)戦でのカネロの負けがドローとして記録されているからだ(笑)」(マーティン・マルカヒー記者【アメリカ】)
 
 こういった意見は、軽量級とは思えない豪快KOで魅せるバンタム級王者の魅力が、軽々と国境を越えて人々の心を掴んでいることを物語っている。同時に、井上が1位に迫っていることも実感したが、PFP ランキングでトップに立つために必要なものは何なのか。

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