2020.11.10

井上尚弥はなぜ「世界2位」なのか。
PFP選考委員が考える1位との差

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

"モンスター"のラスベガスデビューは大成功に終わった。

 現地時間10月31日、ラスベガスのMGMグランドガーデン内カンファレンス・センターで行なわれたWBA、IBF世界バンタム級タイトル戦。王者・井上尚弥(大橋ジム)は、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に7回2分59秒でKO勝ちした。実力者のマロニーをまったく寄せつけず、6回、7回にビューティフルな左右のカウンターでダウンを奪っての完勝だった。

ラスベガスデビューとなった防衛戦を7回KO勝ちで飾った井上 これまで日本以外の国では、井上の試合はYouTube で見られることが多かったため"YouTubeセンセーション"という呼称が相応しかったかもしれない。しかし今回の試合が、動画配信サービス『ESPN+』で全米に生配信されたことで、力量をアピールすることに成功。世界的な評価、知名度はさらに上がるはずだ。

 圧倒的な強さを見せつけられただけに、アメリカ主要媒体での「パウンド・フォー・パウンド(以下、PFP)」ランキングの行方が気になった日本のファンも多いかもしれない。

"全階級で最強のボクサー"を決めるこのランキングは、トップ10の常連になった井上のおかげで日本でもすっかりおなじみになった。マロニー戦の前まで、日本が誇る3階級王者は老舗『リングマガジン』のPFPランキングで2位。世界トップ3に入るだけでも快挙だが、井上は1位が狙えるだけのボクサーである。

 結論を先に書くと、マロニー戦で圧勝したあとも井上は2位のままで、まだ頂点には到達していない。

 筆者は昨秋以降、『リングマガジン』のランキング選考委員を務めている。井上の防衛戦のあとに行なわれたパネリスト間での議論は、レオ・サンタクルス(メキシコ)に6回KO 勝ちしたジャーボンテイ・デービス(アメリカ)をトップ10に入れるかどうかであり、井上の首位浮上は話題にはならなかった。