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グレイシーがまさかのタオル投入。
桜庭和志がホイス戦圧勝で歴史を変えた (3ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 私はたしかな手応えを感じつつ、ドーム内に入っていった。決して満員ではなかったが、第1試合が終わり、次がいよいよ「桜庭vsホイス戦」だとなった瞬間のドームの雰囲気は、何とも言えないものだった。

 期待と緊張----。そして、ホイス陣営が出した条件が「1ラウンド15分の無制限ラウンド」のため、本気でいつ終わるか分からないぞ、という漠然とした不安もあった。

 何よりこの世起の一戦は、戦前にグレイシーの身勝手な言動が多すぎて、実際に試合開始のゴングが鳴るまで本当に実現するのかどうか確証が持てなかった、と言っても過言ではなかった。

 そんな筆舌に尽くしがたい空気のなか、ホイス陣営がお馴染みのテーマ曲『ラスト・オブ・モヒカン』に乗って、一族大集合のグレイシートレインで入場。これだけで、グレイシーの世界観が会場を支配しているのがわかる。

 しかし、だ。桜庭の入場曲である『SPEED TK RE-MIX』が流れ、その姿を現した瞬間、桜庭はそのグレイシーの世界観を一瞬にして破壊してみせた。

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