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「令和の怪物」の父は柔道界のレジェンド。
斉藤立は重量級の希望の星 (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 斉藤は全日本選手権の予選会となる東京都選手権(3月11日)の数日前に、手首の腱を負傷し、3月21の高校選手権・団体戦はぶっつけ本番。全日本選手権に向けた練習も十分ではなく、寝技にいたってはほとんどできなかった。

 そうした影響もあり、3回戦の国士舘の先輩である90キロ級の加藤博剛(12年の全日本選手権王者)との対戦では、巴投げを警戒するあまり小内刈りで転がされた。さらに加藤の真骨頂である寝技で、関節を極めながら抑え込みに移行されて一本負け。百戦錬磨の相手に、手も足も出なかった。

「スタミナは自分の方があると思うんで、技を掛けて、攻めていったら、チャンスがあると思っていた。ケガをしていなかったら、もっと詰めた練習ができて、いい結果が出せたと思う。悔いしか残らないです」

 今後の課題は寝技だと明かした。

「関節技とかがまったくわからなくて......(加藤との試合でも極められた腕を)はずそうと思って、前転したらええんちゃう、と思って......そうしたらそのまま抑え込まれて(笑)。まったく寝技を知らなかった。知識不足でした」

 試合会場をあとにする際、加藤からは「先輩は強いんだぞ」と声をかけられたという。

「思わず『ちくしょー』って叫びました」

 今回の敗戦で、わずかに残されていた東京五輪の道はほぼ途絶えた。

「しっかり気持ちを切り換えたい。この悔しさを埋める練習量を自分に課したいです」

 前途洋々なまさしく大器――。復権が待たれる日本柔道の重量級にあって、斉藤の存在が光明であることは確かだ。

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