2018.11.25

連勝街道一直線。阿部詩は「見たくない映像」を分析して連覇達成

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 2009年から東京で開催されていたグランドスラム大会が、今年は関西に場所を移して”グランドスラム大阪2018”として開幕した。

 今年9月の世界選手権を連覇した阿部一二三(66kg級/日体大)と、妹である阿部詩(52kg級/夙川学院高)は、世界選手権で初出場ながら18歳で初優勝を果たしており、兄の一二三はこの大会の3連覇を、妹の詩は連覇を狙っていた。

グランドスラム決勝で準決勝までとは違うスタイルを見せた阿部詩 大会初日の11月23日、ふたりともに圧倒的な強さを見せつけて、オール一本勝ちで決勝に進出した。だが、兄の一二三は決勝で日本勢2番手のアジア大会銀メダリストの丸山城志郎(ミキハウス)に巴投げで技ありを取られて2位。3連覇はならなかった。世界選手権後はスケジュールもタイトだったうえ、手首を痛めて練習ができない時期もあった。井上康生男子監督は「世界選手権と比べれば、しっかり準備できない環境もあったと思う」と言う。

 16年講道館杯以来の対日本人選手の敗戦に、一二三は「決勝は決められそうな場面が何回かありましたが、そこで決め切れなかったのがダメですね。1回巴投げで負けている相手なので、巴投げが来るのはわかっていました。ただ、それを意識しすぎると、自分らしさが出なくなるのであまり意識はしなかった。でも同じ形で負けたてしまったので、そこは改善しなくてはいけないと思う」と反省を口にした。

 一方、妹の詩は進化した姿で危なげなく大会連覇を果たし、”世界選手権とグランドスラム大阪で優勝すれば翌年の世界選手権代表に内定”という条件をクリアして、世界選手権出場を決めた。

 強さを見せつける優勝だった。初戦となった2回戦では、マダガスカルの選手を開始10秒に袖つり込み腰で一本勝ち。3回戦はアジア大会2位のパク・ダソル(韓国)を相手に、開始1分38秒で指導3と追い込んで反則勝ち。準決勝の相手は、9月の世界選手権の決勝でも対戦し、延長のゴールデンスコアまでもつれ込んで内股で下した志々目愛(了徳寺学園職員)だったが、今回は開始23秒に内股すかしであっさり一本勝ち。鮮やかに優勝を決めた。