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王座陥落で評価ダウン。村田諒太はトップ戦線に戻れるのか?

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Yamaguchi Hiroaki/AFLO

 中量級随一の人気王者が"ニューヨーク・デビュー"――。現地時間12月15日、マディソン・スクウェア・ガーデンで行なわれたWBA世界スーパーミドル級タイトル戦で、WBAスーパー・WBC世界ミドル級王者のサウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)が、王者ロッキー・フィールディング(イギリス)に挑み、3回2分38秒でTKO勝ちを飾った。

 2万人以上の観衆が集まった一戦は、戦前から「絶対有利」と目されていたカネロが合計4度のダウンを奪っての快勝。ニューヨーク初登場の"お披露目ファイト"で、今が旬の王者はメキシコ人史上9人目の3階級制覇を達成した。28歳のメキシカン・アイドルは、来年5月4日に予定される次戦で再びミドル級に戻ることが有力視されている。

「今夜はカネロにとってすばらしい夜だった。カネロは背中にターゲットを背負っているようなもので、みんなが彼と戦いたいと願っている」

 試合後の会見で、プロモーターのオスカー・デラホーヤが述べていた言葉は大げさではない。カネロは今年の9月、それまで無敗だったミドル級の帝王ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に判定勝ちしてWBA、WBC同級王者を奪取。10月には動画配信サービスDAZN(ダゾーン)との11年3億6500万ドル契約を結んだばかりだ。今後は一戦ごとがビッグイベントとなるだけに、対戦希望者は後を絶たないだろう。

 カネロの充実と時を同じくして、群雄割拠のミドル級は依然として激しく動いている。WBC暫定王者ジャモール・チャーロ(アメリカ)は12月22日に同王座の2度目の防衛戦を予定。ゴロフキン、IBF王者ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)も近日中に今後の方向性を発表するに違いない。

 さらにWBO王者デメトリアス・アンドレイド(アメリカ)は来年1月18日にアルトゥール・アカボフ(ロシア)と、WBA王者ロブ・ブラント(アメリカ)は2月15日にハッサン・バイサングロフ(ロシア)かエスキバ・ファルカン(ブラジル)と、それぞれ防衛戦を予定している。

 これらのビッグネームたちが、来春以降に揃ってカネロとの"ビッグマネーファイト"を目指すことになる。「全階級屈指のハイレベル」と言われるミドル級は2019年も盛り上がっていきそうだ。

 このように華やかなミドル級の話を聞いて、「村田諒太(帝拳)も戦線に加わっていたら......」と残念に感じたファンも多いだろう。10月20日のWBA世界ミドル級戦でブラントに勝って防衛を果たしていれば、村田の名前も何らかの形で言及されていたことは間違いない。実際に、元統一王者ゴロフキンとの日本でのドリームマッチは本当に手の届くところにあった。

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