米国でのもてなしに大仁田厚、感激。7度目の復帰で邪道の次なる野望

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Hiraku Yukio/AFLO

 今年10月に1年ぶり7度目の現役復帰を果たしたプロレスラー大仁田厚が、「海外進出」と「地方活性化」を2019年の目標に掲げた。

昨年10月の7度目の引退から1年後に復帰した大仁田昨年10月の7度目の引退から1年後に復帰した大仁田 12月9日、大仁田は米ペンシルベニア州フィラデルフィアの2300アリーナで開催された、米国のハードコア団体「CZW(コンバット・ゾーン・レスリング)に参戦した。昨年8月以来となる1年2カ月ぶりの米国マットでマット・トレモントと組み、DJハイド&MASADA組とハードコアルールで対戦。毒霧、火炎攻撃、サンダーファイヤーパワーボムを繰り出し劇勝した。

 会場は満員で、大仁田とタッグを組んだトレモントは「大仁田は9歳のころからの憧れで、彼の試合を見ていなかったらプロレスラーとしての自分はいない。彼はデスマッチの神様であり、日本の父親だと思っている」と敬意を表した。

 それに対し、復帰からわずか1カ月で米国リングを沸かせた"邪道"は、イベントを振り返りながら自身の思いを語った。

「こんな何十年もやっているヤツをもてなしてくれてありがたいよ。アメリカ人は、歴史を築いた人間に対してちゃんと敬意を表してくれる。日本もかつてはそうだったと思う。だけど、今は、『古くなったらバイバイ』って忘れてしまう傾向にあると思うんですよ。

 そういう認識は改めたほうがいいんじゃないかな。旬のものだけじゃなく歴史に敬意を表す。そうじゃないと本当の文化は生まれない。プロレス界で言えば力道山先生、ジャイアント馬場さん、アントニオ猪木さんに対して、もっと敬意を表すことが必要だと思うよ」

 1988年に旗揚げしたFMWで電流爆破デスマッチなどのデスマッチ路線を貫き、大仁田は「涙のカリスマ」と爆発的な人気を得たが、引退と復帰を繰り返したことで、今では批判の嵐にさらされている。それでも大仁田は、功罪を含め一時代を築いた歴史への敬意を忘れてほしくないと訴える。

 確かに、今回のオファーもデスマッチのレジェンドだからこそ届いたもの。さらに来年は、イギリス、4月にはニューヨークでの参戦要請が舞い込んでいる。海外マットで邪道の価値は高まっており、来年はさらなる海外進出を実現していく計画だ。

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