「指導」だらけ。男子柔道100キロ超級は
反則決着ばかりでいいのか
お寒い試合内容だった。
1992年バルセロナ五輪95キロ超級の銀メダリスト・小川直也氏を父に持つ小川雄勢(明治大4年)と、2年前のリオ五輪で"絶対王者"のテディ・リネールに敗れはしたものの、銀メダルを獲得した原沢久喜(日本中央競馬会)の対決となった全日本選抜体重別選手権(福岡)男子100キロ超級決勝――。
小川の初Vなるか、原沢の復活Vなるかという注目のカードも、膠着(こうちゃく)した試合展開が本戦(4分)、ゴールデンスコア方式の延長まで続き、最後は原沢に3つ目の「指導」が渡り、小川の反則勝ちとなった。
体重別男子100キロ超級は小川雄勢(写真左)が原沢久喜の指導3つによる反則勝ちで優勝を飾った 昨年の同大会1回戦で原沢に敗れていた小川は「素直に嬉しい」と語り、こう続けた。
「この階級で僕が一番強いんだというのを証明するのが、目的でもありました。それを達成することができたので、今日はよかったと思います。(原沢は)何度も対戦している相手ですし、お互いにどんな技を掛けるのか、どう反応するのか、わかっている。(手の内がわかっている相手とは)どうしても指導1個の差で勝敗は決する。ある程度は、この試合内容も、しょうがないのかなと思います」
原沢は計5分28秒の試合の間、小川が内股をしかけてきたところを背後に回り、裏投げや小外掛けを狙う動きを繰り返した。序盤こそ小川がヒヤリとした場面はあったものの、単調な柔道をここまで続ければ、昨年の講道館杯、グランドスラム東京を制して勢いに乗る小川は容易に対処する。原沢は終盤、息切れするように動きが止まって勝敗は決した。
試合後の原沢は、小川の成長を認めながらも、試合前に練った戦術に誤りがあったと振り返った。
「投げられることはないと思っていたので、消耗戦になることは予想していました。ただ、相手のバックをとる形にこだわりすぎてしまった。あれでポイント(指導)が取れる自信はあったんですが、多用しすぎた。これに尽きます」
両者が決め手を欠く試合展開となったのは、決勝だけではない。8人で争われる選抜体重別において、今年の100キロ超級は全7試合中、技による決着がわずか1試合だけだった(小川にいたっては、オール反則勝ち)。
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