【国際プロレス伝】アニマルは見た!
「神様」と「人間風車」の猛練習

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO, Miyazaki Toshiya

【第30回】アニマル浜口が語る「国際プロレスとはなんだ?」

 アメリカ帰国後はプロレスのリングから離れ、ハワイへ移り住んでいたカール・ゴッチ。レスラーとして不遇な時代のゴッチを救ったのが、国際プロレスの吉原功(よしはら・いさお)社長だった。来日を果たしたとき、国際プロレス参戦中に付け人を務めたアニマル浜口が見た、ゴッチと「スネーク・ピット(蛇の穴)」の弟弟子(おとうとでし)ビル・ロビンソンとの秘密練習とは――。

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新日本プロレスのリングで戦うカール・ゴッチ新日本プロレスのリングで戦うカール・ゴッチ「プロレスの神様」カール・ゴッチ(2)

 日本のプロレスファンが注目した、『"人間風車"ビル・ロビンソンvs."無冠の帝王"カール・ゴッチ』のスネーク・ピット兄弟弟子対決――。両雄はIWAワールド・シリーズで5度対戦し、いずれも時間切れ引き分けに終わったが、初めてふたりの試合を見たアニマル浜口はレベルの高さに驚いたという。

「ビル・ロビンソンとカール・ゴッチの対戦は、僕たち国際プロレスの若手にとって勉強になりましたね。僕は入門して1年半ぐらいでしたが、レベルの高さに圧倒されました。おふたりともスピードがあって、技にキレがある。流れるような試合展開でした」

 ロビンソンがエルボー・スマッシュの連発で相手の動きを止めると、得意のダブルアーム・スープレックスを狙う。しかし、ゴッチはそれを返して反撃。ジャーマン・スープレックスを仕掛けるも、それは不発に終わった。お互いを知り尽くした両者の戦いは一見地味に見えたものの、実際は相手の必殺技を完全に封じ込めながらせめぎ合う高レベルな技の応酬だった。緊迫した雰囲気を醸すふたりの対決は「国際プロレス史に残る名勝負」のひとつに数えられている。

 ちなみに、カール・ゴッチの代名詞ジャーマン・スープレックスは、彼自身が「アトミック・ホールド」と名付けたことにより、それが日本語に直訳されて「原爆固め」と呼ばれて一世を風靡した経緯がある。

「ゴッチさんが日本にいる間、僕は社長から付け人を命じられまして。当時、グレート草津さんの付け人をしていましたから、ふたりを掛け持ちしました。

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