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悪夢の「ロマゴン敗戦」で誤算。
井上尚弥の世界進出プランを再考する (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 現在、スーパーフライ級で4度防衛している井上。もちろん、防衛を重ねながらロマゴンとの対戦機会を待つのが最有力の選択肢だろう。しかし、ロマゴンとのマッチメイクが難航するようなら、どこかで見切りをつける必要に迫られる。その場合、1階級上げてバンタム級への転級が妥当か。

 そのバンタム級で井上に見合う選手を探した場合、真っ先に思いつくのはWBC世界バンタム級王座を12度目防衛中の山中慎介だろう。前述のリング誌が発表したPFPランキングで、井上は10位、山中は9位にランキングされている。「日本人最強」を決める一戦は、ファンにとっては非常に興味深い。だが、井上と山中、ふたりの視線はともに海外を向いている。つまり、「井上対山中」の一戦は両者にとって、リスクはあってもメリットはない。実現の可能性は限りなく低い。

 ただ、現在バンタム級は層が薄く、山中以上のビッグネームは存在しない。ならば井上は、山中の持つWBC以外のベルトを狙い、3階級制覇をまず達成し、すぐにでもスーパーバンタムまで階級を上げるのはどうだろう。

 スーパーバンタム級には、2014年の大晦日に天笠尚(あまがさ・ひさし)の顔面を崩壊させたPFP7位にランクされるビッグネーム、ギレルモ・リゴンドウ(キューバ)がいる。さらに日本ジム所属選手で3階級制覇(ホルヘ・リナレス、井岡一翔、亀田興毅、長谷川穂積、八重樫東)を達成した王者はいても、4階級制覇を成し遂げた選手はいない。井上がバンタム、スーパーバンタムのベルト獲得に成功し、4階級制覇に成功すれば初の快挙となる。

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