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悪夢の「ロマゴン敗戦」で誤算。
井上尚弥の世界進出プランを再考する (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

「(大橋秀行)会長から12月の対戦があるかもしれないと聞いていたので、ショックです」

 さらに、今年に入って井上はこんな発言もしていた。

「年内はスーパーフライ級で戦い、来年はバンタム級に上げるつもりです。そのあと体重増を考えて、スーパーバンタム級まではイメージしています」

 年内の対戦が濃厚で、来年には転級。つまり井上は来年、日本人ボクサーがかつて踏み入れたことのないステージに駆け上がろうとしていたということだ。ロマゴンの首を手土産に。

 しかし、ロマゴンは敗戦後に「私が勝ったと思った。すぐに再戦したい」と発言。シーサケットもリマッチに前向きだ。その結果、井上対ロマゴン戦の行方は一転、少なくとも年内の対戦は暗礁に乗り上げることとなった。

 井上にとってロマゴンの敗戦は、対戦時期の先送り以上に深刻な意味を持つ。なぜならロマゴンは、井上尚弥のボクシング人生第1章のクライマックスとも呼ぶべき究極の相手だったからだ。

 本場アメリカのボクシング誌『リング』が発表するパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで、長年にわたって1位に君臨したロマゴン。しかし、敗戦後に公表された最新ランキングでは4位にランクダウンした。つまり、"今"対戦が叶って井上がロマゴンを破ったとしても、PFP1位のロマゴンを倒してこそ手にできるはずだった"最強"の称号を手にすることはできなくなったということだ。

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