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波乱続きのRIZIN無差別級。
イランの「汚れた英雄」が強すぎる (3ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji
  • photo by RIZIN FF/ Sachiko HOTAKA


 そこでクローズアップされるのが、ヒース・ヒーリングと対戦するアミール・アリアックバリ(イラン)だ。1987年生まれのアミールは、192cm、120kgの強靭な肉体を誇り、レスリングで2度、世界選手権を制した実績を持つ。

 しかし、2010年にロシアで行なわれた世界選手権で初優勝した後、ドーピング違反によって2年間の出場停止処分を受け、ロンドンオリンピックには出場できなかった。2013年、満を持して復帰した3ヵ月後には、ハンガリーで行なわれた世界選手権に出場して2度目の優勝を果たす。しかしながら、この時もアナボリックステロイドに陽性反応を示したため失格。規定により、国際レスリング連盟から永久追放されてしまった。

 アミールがドーピング違反となった時期には、他にも検査に引っかかったレスラーがイラン国内にいただけに、世界のスポーツ界を揺るがしたロシアのドーピング問題のように組織ぐるみの関与が疑われてもおかしくない。

 かつて筆者がドーピング問題についてアミールに質問した際、彼は「もう終わったこと。振り返りたくはないね」と口をつぐんだ。この問題が発覚した当時、イランのSNSでは「アミールは悪くない。騙されただけだ」「俺はアミールを信じている。これからも応援するから頑張れ」など、彼を擁護する書き込みが目立っていたという。イランでは著名人への個人攻撃が起こると、みんなで擁護する傾向がある。しかし、仮にアミールがレスリングに未練を抱いていたとしても、永久追放となったことを覆すことはできない。

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