【女子バレー】日本代表に初選出のミドル、アクアフェアリーズ富山の山口真季は常に「自分が合わせて動く」 (2ページ目)
【父から「バレーを続けてほしい」】
その姿勢が、オールラウンドさにつながっているのかもしれない。
「たくさんポジションを変えてきたので、ミドルのこだわりなどもありません」
彼女はきっぱりと言うが、執着を捨てていることが、選手としての器を広げているのではないか。
「そうなんですかね(笑)。(コートでの自身の役目に関しては)できないものはできないですけど、必要とされているなら、『じゃあ、やってみます』という感じです。たまにライトをやるのも飽きなくていいです。ミスしても、『本職じゃないし』って気楽に開き直れるから楽しいですよ」
山口は捉えどころがない。飄々とし、バレーに対する"体温"は低そうにも映る。ただ、体内には熱いものが流れている。大和南高校時代には、今でも忘れられない経験をした。
「3年生の最後の春高バレーで、(下北沢)成徳戦に負けたあと、体育館の外で集合したんです。監督と選手、保護者も集まったんですが、そこで監督が泣いたんです。見た目は"いかつい"し、それまで泣くことなんかなかったのに、私たちの前で涙を流した。それから、3年生ひとりひとりと握手をしたんですよ。それで、私たちもみんな泣き出して......それは今でも覚えてますね」
山口はその情景を愛おしむように言った。言葉よりも、行動そのものに重きを置いているのかもしれない。
「プレーする姿を見ていたいから、バレーを続けてほしい」
高校卒業を前に、山口の父はそう言って競技続行を促したという。娘はそれに応え、大学、Vリーグ、SVリーグでもトップのミドルになっている。一方の父は、試合を会場で見る。黒部での試合も、神奈川から5時間以上も運転して観戦しにやってくるという。親子ふたりの"有言実行の絆"があるのだろう。
「父は深夜に家を出るらしいですが......特に話をすることはなくて、試合が終わったあとに『お疲れさま。明日も頑張れよ』と声をかけられて、こちらが『気をつけてね』って見送るくらいですね」
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