【男子バレー】東京GBの大前隆貴が憧れた石川祐希と同級生のリベロ 春高は悔しい欠場も、SVリーグへとつながった (3ページ目)
【SVリーグ開幕直前のケガにも前向き】
大前は、瞬く間に大学バレー界有数のリベロになった。あらゆるポジションを、リベロの視点でやってきた経験が実を結んだのかもしれない。大学3年の夏、就職活動をするなかで一念発起した。
「『Vリーグ(現在のSVリーグ)でプレーしたい』という思いはありましたが、実際にできるとは思っていなくて。でも、『東京グレートベアーズがリベロを募集していて、練習に参加できる』という話を聞いたんです。
そこで、『こんなことできたっけ』と思うくらいにうまくいったんですよ。柳田(将洋)選手のサーブをセッターの正面に返すことができたり、ジャンプトスをしてブロックをゼロ枚にすることができたり。ルンルンで帰ったのを覚えています」
大前は朗らかに笑った。4年生になる前に内定をもらい、昨年2月には東レアローズ静岡戦でSVリーグデビューを飾っている。熱狂が渦を巻く会場で、昂揚感を覚えた。
「親には、『運がいい』と言われます」
バレーの神様に愛されているのだろう。すべての道がつながっていた。急がば回れ。トップリーグのリベロに辿り着いたのだ。
ただ、神様も時には厳しい。2025-26シーズンのSVリーグ開幕4日前、大前は右手の中手骨骨折で手術を受けた。全治2~3カ月という診断で、右手には痛々しい傷あとがあった。
「フライングで指からいってしまって......。最初は突き指だと思って、練習を続けたんですが、レントゲンを撮ったら『折れています』と。いい準備ができていたのでショックでしたけど、深津(旭弘)さんに『神様が何か教えてくれているんだよ』と声をかけてもらいました」
大前はあけすけに言う。そこに暗さはない。リベロとして成功するイメージがあるからだ。
「復帰したら、レシーブで持ち味を出したいです。1点取ったら走り回って、雰囲気をよくしていきたい。コートに入ったらチームの温度が上がる選手になりたいです」
回り道をしながらトップリーグに辿り着いた男に、焦りはない。
(後編:大前隆貴は日向翔陽と星海光来をベストメンバーに選出「ちっちゃくても勝てる」>>)
【プロフィール】
大前隆貴(おおまえ・りゅうき)
所属:東京グレートベアーズ
2002年11月21日生まれ、愛知県出身。174cm・リベロ。ふたりの姉の影響で、小学3年でバレーを始める。中学時代、JOC(ジュニアオリンピックカップ)に出場する代表メンバーに選ばれた。星城高校時代はセッターとして活躍し、3年時に春高バレーに出場した。愛知学院大学ではリベロで西日本インカレで優勝し、リベロ賞などを受賞。卒業後の2025年、東京グレートベアーズに入団した。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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