【女子バレー】SVリーグ初代女王が連敗発進 「波乱」を起こしたヴィクトリーナ姫路のふたり (3ページ目)
「私みたいに飛び抜けた武器がない選手は、ディフェンスからでも、サーブからでも、オールラウンドに挑戦して、と思っています。どんな起用法でも自分の価値を見せ、持ち味を発揮できるように、ベンチにいるときも、できる役割をまっとうすることだけ考えていました」
野中はそう言うが、姫路陣営は健全な共闘精神を共有できていた。
キャプテンである佐々木千紘はこう語っている。
「この試合に臨むにあたって、"私たちはチャレンジャー"という共通認識でした。どうやったら有利に展開できるかを考えて、サーブで崩し、ブロックディフェンス、という作戦がうまくいったと思います」
挑戦者の"賭け"が、波乱のカギだったか。
もちろん、リーグは始まったばかりで、44分の2に過ぎず、果てしない戦いが続く。
マーヴェラスも内容が悪かったわけではない。前日にフル出場したエース、林琴奈を下げた(リリーフサーバーのみ)ことも、少なからず影響していただろう。長丁場の44試合を戦う戦略で、女王のピーキングはずっとあとという設定だろう。長身ミドルブロッカーのサマンサ・フランシスも来日10日足らずで、アジャストするのはこれからだ。
とはいえ、開幕ダッシュの意味も小さくない。
「44試合の流れを決めるので、開幕2勝できたのは良かったです!」
殊勲者、宮部の声は弾んでいた。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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